大きな社会現象となったなでしこブームを追い風に、高校女子サッカーが、来年度から2度の全国大会を行うことが26日までに分かった。2012年に新潟県や長野県などで行う北信越かがやき総体(7月28日~8月20日)に、女子サッカーが正式加盟する。これに伴い、これまで夏場開催だった女子の高校選手権は、冬季開催が有力となった。全国高体連理事会(三田清一会長)で正式決定する見込み。順調ならば、男子同様に「夏の総体、冬の選手権」の形が整う。育成世代の環境整備、競技人口の裾野拡大へ、まずは高校女子サッカーが大きな改革に乗り出す。

 女子サッカー界の底上げへ、早くも具体的な動きが出てきた。なでしこ主将沢は中学生世代のサポートを急務に掲げているが、高校世代は一足早く動きだした。その大きな柱、女子サッカーの高校総体への競技参加が決定した。つまり、女子サッカーのインターハイ新設だ。

 08年にサッカー専門部内に女子部を併設してから4年。着実に準備してきた動きが、今夏のなでしこジャパンの快挙達成によって、一気に最終局面に突入した。高体連の大倉健史専門部長(56)は「部活動の大会として、部活動の活発化を願っている。なでしこの活躍によって、女子サッカーへの理解が進み、私たちは追い風を感じている」と、話した。

 高校女子サッカーの唯一ともいえる全国大会は、毎年7月下旬に静岡県磐田市内で集中開催されてきた高校選手権だけだった。ただ、この時期は総体と重なるため、これまで総体に女子チームが参加することはできなかった。しかし、女子サッカーのインターハイ新設により夏場の全国大会が実現することになった。

 さらに、高校選手権を男子同様冬場に移行する計画が進行している。「夏の総体、冬の選手権」。部活に励む生徒の大きなモチベーションにつながる。中学生までは男女混合も試合出場が可能だったが、高校では認められていない。高校でサッカーを続けたい女子選手を強力に後押しする改革といえる。

 高校でサッカーを続ける環境が整えば、自然と中学生世代にも波及する。一部の強豪校や、日テレ・ベレーザなどのクラブチーム以外の進路が、選手たちに広がることになる。ある有力高校の指導者は「高校世代の普及はそのまま大学の普及にもつながる」と話す。

 現在、東京にはおよそ40の高校で女子サッカー部が活動している。300校にのぼる男子の1割が目標だったが、すでにクリア。強豪校への受験の問い合わせも増加傾向にあるという。今の中高生は来年のロンドン五輪以降の代表選手に育つ可能性を秘めている。「高校サッカー」出身のなでしこ選手の誕生はもうすぐだ。【加納慎也】