<J1:G大阪2-2清水>◇第14節◇11日◇万博

 日本代表MF宇佐美貴史(19)がG大阪を救った。清水に1点リードされた後半12分に左サイドから中央へ切れ込むと、相手DF2人の隙間を縫うように右足でシュート。ぶれるように右サイドネットに吸い込まれた同点弾で、ACLを含めた連敗を「2」で止めた。ドイツ1部Bミュンヘンへの移籍が決定的な状況。積極的にゴールを狙い、ワールドクラスの点取り屋へ成長を見せた。

 激しく動きながらも、宇佐美にはゴールが見えた。「コースというより(ゴールが)視線に入ってきた」。清水に逆転された7分後、左サイドラインからペナルティーエリア左手前まで切れ込んだ。1人かわし、右からもう1人来ると「間を狙った」。約20メートル、右足を振り抜いた。相手に当たりブレ球のようになった軌道は、横っ跳びの相手GKを尻目にゴールに吸い込まれた。

 宇佐美

 ちょっと相手に当たってラッキーでしたけど、積極的に狙ったことで入ったと思う。

 今夏にはブンデスリーガ・Bミュンヘンへの移籍が決定的だ。19歳にして世界的強豪の一員になる素材の高さを見せつけた。前イラン代表の敵将ゴドビ監督も「非常にファンタスティック。日本だけじゃなくアジアでも素晴らしいタレント」と絶賛。得点後もゴールを狙い、両チーム最多の6本のシュートを放った。

 「世界のホンダ」に学んだ。キリン杯で初めてA代表入りし、7日までの9日間を過ごした。「海外組からいろんな話を聞いた」という中で、最も刺激を受けたのは「思い切ってやれ」と言い続けたMF本田圭佑(CSKAモスクワ)。「アグレッシブにどんどんやるべきと思った」との積極性が同点弾につながった。

 ドイツ移籍が明らかになって10日。営業担当者が「これまでの3割増。レプリカの注文も殺到してます」と言うように、この日も宇佐美グッズが飛ぶように売れた。「もっとできると思う。意識を高くしたい」。次節15日仙台戦からは上位との対戦が続くが、若きストライカーがG大阪を勢いづける。【近間康隆】