<J1:清水3-2名古屋>◇第21節◇11日◇アウスタ

 FW高木俊幸(21)が決めれば清水は勝つ。高木がホーム名古屋戦で前半ロスタイムに勝ち越しゴールを決めた。今季公式戦9発目(リーグ7、ナビスコ2)でいずれも勝利に結び付いた。

 「ゴール決められそうな雰囲気も戻ってきた」。試合前、FW高木が感じていた確かな手応えが現実のものとなった。1-1の同点で迎えた前半ロスタイム。ゴール前でこぼれ球を拾うと、ドリブルを開始。正面には名古屋DF陣の2人が立ちはだかったが、落ち着き払っていた。右足で軽くボールを運ぶ。シュートコースをわずかに広げると、DFが間合いを詰める前に狙い澄ましたシュートをサイドネットに突き刺さした。

 プロ入り初となる自身公式戦3連発は、貴重な勝ち越し点だった。ハーフタイム、控室に戻る前に歓喜に沸くサポーターを両手であおると、後半も勢いは止まらなかった。同21分、左サイドからFW大前に決定的なラストパス。追加点とはならなかったが、今季3度目の連勝に向けてチームを鼓舞した。

 高木の奮闘に、共に序盤戦の好調を支えた大前もリーグ2戦連発で応えた。同29分、ゴール中央でこぼれ球を拾うと、ためらいなく右足を振り抜いた。全身の体重が乗った強烈なシュートは、オレンジサポーターが後ろに待つゴールへ。勝利を決定づける3点目となった。

 DF陣も終盤の猛攻に何とか1失点で耐え、上位再浮上に向けて大きな勝ち点3を積み上げた。今季3度目の連勝に加えて、この日の先制点はオウンゴールと、見放されていた「運」も戻ってきた。ホームでは6月9日のナビスコ杯大宮戦以来の白星で、夏休みのサポーターを喜ばせた。【前田和哉】