故障で今季絶望視されていたG大阪のDF加地亮(32)が、J1残留をかけた最終節磐田戦(12月1日、アウェー)の出場を直訴した。27日は、大阪・万博で練習を再開。10月末に左膝内側側副靱帯(じんたい)を損傷して復帰まで6週間の診断を受けていたが、絶体絶命の危機に陥ったチームを救うため「必ず間に合わせます」と宣言した。頼れる元日本代表が、愛するクラブを逆転残留へ導く。

 やるしかない!

 クラブのために、自分のために-。加地は覚悟を決めた。冷たい風が吹くこの日の練習後、はっきりと言った。

 「必ず、間に合わせます。監督からは『どうや?』って聞かれるので、『行けます』って答えています。やっぱり、出たいですね。(今年は)ケガばっかりして、チームに迷惑をかけていますから。勝つしかないんで。勝ちたいです」

 当初、今季の出場は絶望視されていた。10月27日広島戦で負傷し、復帰まで6週間の診断を受けた。まだ痛みがある。不運に見舞われた今年は、故障の連続で、胸の奥にも見えない恐怖心があるだろう。それでもクラブの命運をかけた最終節に、出ると決めた。例え再発しようとも、倒れるまで、走り続ける。ジーコ体制時に日本代表の不動の右サイドバックだった男は、そうやって生きてきた。

 「早く試合がしたい。サッカーを、楽しみたい」

 それは、心の叫びだ。今季、G大阪のメンバーで、サッカーを楽しんだ選手はどれほどいるだろうか。最後は楽しみたい。勝って、残留して、笑いたい。チームの先頭に立って、それを伝えたい-。加地の、いちずな思いだった。

 9月15日新潟戦で16位に沈んでからは、降格圏から抜け出せずにいる。残留圏の15位神戸と、勝ち点1差の16位。この日は点取り屋レアンドロと、DF中沢が別メニュー調整。不安もあるが、松波監督は「勝って(ライバルの)結果を待つ。それが最大の目標」と言い切った。“カジ場”のばか力を出すしかない。苦しみを乗り越えた先に、光はあるはずだ。【益子浩一】