<Jリーグアウォーズ>◇3日◇横浜アリーナ

 広島のFW佐藤寿人(30)がMVPと得点王、ベストイレブン、フェアプレー個人賞の4冠に輝いた。MVPと得点王のダブル受賞は史上5人目。さらにフェアプレー賞まで同一選手が受賞するのは、Jリーグ史上初の快挙となった。

 小さな巨人が、偉業を成し遂げた。FW佐藤はゴールデンシューズを手にした瞬間、思わず「重い」と声が漏れた。「自分1人の力で取ったゴールはほとんどない。GKとDFの選手が相手からボールを奪い、MFが汗をかいて前に運び、僕は最後の役割を担っただけ。得点王は、みんなで取った賞。みんな、ありがとう」。チームを第一に考える男らしく喜びを表した。

 左手親指には「王者の証し」金星のネイルが輝いた。今季は警告を1枚も受けず全試合に出場し、07年に続く2度目のフェアプレー賞も獲得。特筆すべきはJ1で09年10月を最後に、98試合連続で警告を受けていない点だ。「僕の2人の息子もサッカーをしています。息子にはもちろん、サッカー少年にはフェアプレー精神を少しでもトップレベルの位置から伝えられたらと思います」と話した。

 MVP、得点王、フェアプレー賞に加え、ベストイレブンまで獲得する史上初の偉業。4冠で賞金は総額450万円となり「みんなでつかんだ賞なのでチームメートと喜びを分かち合いたい」。全選手参加の優勝旅行の計画を明かした。

 身長170センチ。歴代で最も小さな得点王の誕生だ。一昨年、昨年の名古屋FWケネディは194センチ。09、10年の磐田FW前田も183センチ。恵まれた体格ではないが、4月7日のG大阪戦では史上10人目となるJ1通算100得点を達成した。過去9人はいずれも右利きで、左利きの選手は初めて。9年連続で2ケタ得点という史上初の快挙も成し遂げ、体の大きさに決定力は関係ないと証明した。

 次なる目標は、世界最強を決めるクラブW杯。6日のオークランドシティー戦を前に「世界で広島のサッカーを見せたい。自分たちのサッカーがどれだけ世界に通用するか、楽しみながらプレーしたい」。その視線は、さらなる上を見据えていた。【保坂恭子】

 ◆J史上最も小柄な得点王

 今季得点王を獲得した広島FW佐藤は身長170センチ。04年の浦和FWエメルソンの171センチを更新してJリーグ史上最も小柄な得点王となった。体重は67キロで、05年のG大阪FWアラウージョの62キロに次いで史上2番目に軽い。

 ◆MVPと得点王のダブル受賞

 98年FW中山雅史(磐田)、02年FW高原直泰(磐田)、05年FWアラウージョ(G大阪)、08年FWマルキーニョス(鹿島)に続いて、佐藤が史上5人目。なお、日本人選手のMVP獲得は10人目で、広島からの選出は初めて。