「熱血相馬塾」で守備を立て直す!

 J2山形は長崎・雲仙キャンプ5日目の12日、守備練習を重点的に行った。DF陣への指導で相馬直樹ヘッドコーチ(41)が存在感を発揮。大きな声で指示を出し、選手に交じってボールを追いかけた。奥野僚右監督(44)の信頼も厚い元日本代表左サイドバックが、チームに刺激を与えている。

 良いプレーは1つ1つ褒め、ミスが出ればすぐに呼び寄せる。相馬ヘッドは練習の最初から最後まで大きな声を出し続けて選手を鼓舞した。川崎Fなどで監督を務めたが、コーチは初。「役割は全然違う」と言うが、戸惑いはない。早大から鹿島時代までともにプレーした奥野監督からは「『選手に自分を出して』と言われているし、(指導も)認めてもらっている」。厚い信頼関係でチーム作りに臨んでいる。ゴール前での守備練習では、奥野監督に「ミスター・マーク」と指名され、選手に手本を見せた。

 基本をたたき込んでいる。DF陣を集めて行ったクリア練習では「しゃべって!

 (ボールに行くのは)どっちなの!」と声を出し合うことを徹底。自ら相手FW役を務め、選手とボールを追いかけた。DF作田裕次(25)は「守備は基本が一番大事。忘れてる部分をあらためて指摘してくれる」。現役時代は日本代表としても活躍し、98年のキリン杯では相手の意表を突くゴールを決めて日本中を驚かせたこともある。ただ、選手として数多く見せてきたクレバーなプレーも基本、基礎があってこそだ。

 特にDF山田拓巳(23)らサイドバック陣には、攻撃時のクロスまでのボールの受け方なども詳細にアドバイス。今季の飛躍を誓う山田は「細かく言ってくれるので去年より(得る物が)大きい。どんどん聞いていきたい」と話す。現役時と同じポジションだからこそ期待も大きく、その熱意は選手にも伝わっている。

 守備強化を最大の課題に挙げて臨んだ今キャンプ。相馬コーチの熱い指導でチームが大きく変わりそうな予感がする。【鹿野雄太】