<ACL:柏0-0水原>◇1次リーグH組◇9日◇柏

 1次リーグH組首位の柏はホームで水原(韓国)と引き分け、勝ち点を10に伸ばした。主軸のMFレアンドロ・ドミンゲス(29)をケガで欠いたが、今季公式戦初出場となったセンターバック渡部博文(25)を中心に相手の攻撃を封じ込めた。同組の貴州人和(中国)が2-1でセントラルコースト(オーストラリア)を下したため、柏の2年連続の決勝トーナメント進出は次節以降に持ち越された。

 試合を終えた水原FW鄭大世が、脱帽といった様子で口にした。「ヘディングの競り合いでほとんど勝てなかった。23番、すごい良い選手。すごいヘディングが強い」。北朝鮮代表FWにそう言わしめたのが、累積警告で欠場の柏DF近藤に代わり、今季公式戦初出場となったDF渡部だ。

 185センチの長身を生かし、ことごとくゴール前への相手フィードをクリア。鄭大世を後半12分で交代に追い込み、チームをACL初戦の貴州人和(中国)戦以来、今季2度目の無失点に導いた。この日はH組もう1試合の結果によって決勝T進出は決まらなかったが、勝ち点を10に伸ばす、貴重なドローだった。

 そもそも柏が今ACLに出場できたのは、今年元日の天皇杯決勝でG大阪を破って優勝したから。その試合で決勝のヘディングゴールを決めたのが渡部だった。今季ここまで出番がなかったが「ベンチにいる時からいつでも準備はしています。3バック(のシステム)でも、4バックでも、サイドバックとしてでも出るつもり」と腐らずに備えた。その姿勢がネルシーニョ監督に買われて、この日の抜てきとなった。

 だが大仕事を終えた渡部に浮かれたところはなかった。「無失点は自信になりました。でも守備のミスからとか、カウンターからシュートを打たれた場面があった。もっとリスクを負わないサッカーを心がけたい」。物静かな人柄そのままに、冷静に分析して次戦を見すえた。【千葉修宏】