指揮官が思わず口を開いた。「サプラ~イズ」。大宮ベルデニック監督(63)も、練習前の光景に驚きを隠せなかった。29日、牧歌的ムードが漂う新クラブハウスで行われた首位大宮の練習。ゴールデンウイークというタイミングに首位効果も加わって、来場者は約330人。これは大宮史上最多来場者。クラブ関係者が「ファンショップが開いていれば…」と悔やむほど今、大宮にプチフィーバーが巻き起こっている。

 1日遅れの首位浮上だった。前節柏戦のみ26日に行われ勝利。J新記録となる19戦無敗で勝ち点上「暫定」首位となっていたが、翌日横浜が引き分けたため、順位が確定した。不敗記録と快進撃で、開幕から次第に注目度は上がりメディア露出もアップ。この日も在京テレビ局の取材を受けたMF金沢慎(29)は「ビックリですね。今まで大宮を知らなかった人もいたと思うけど、注目されてから来られた人もいると思う」。少しずつ首位を実感した。

 ただ、追う立場から追われる立場になっても動じないのが大宮。この日の練習前ミーティングで、同監督が元日本代表監督を引き合いに「オシムでも千葉で首位をキープすることは難しかった。強い気持ちとポジティブなキャラクターを持って臨んで欲しい」と引き締めた。「僕らは下にいたことの方が長い。残留争いの方がプレッシャーかかりますから」と金沢。例年のように味わっていた降格への恐怖感に比べれば、怖いモノは何もない。【栗田成芳】