<J2:札幌3-0北九州>◇第4節◇22日◇札幌ド

 エースの2発でホーム初勝利!

 J2札幌が北九州を下し、今季4戦目にして本拠地初勝利を挙げた。前半13分に、FW内村圭宏(29)が今季初得点を挙げ先制。内村は同21分に2点目を決め勝利に貢献した。昨季痛めた左足首痛を抱えながら、攻撃陣で唯一の4試合連続フル出場。昨年最終節の北九州戦は0-0ドローに終わり、プレーオフ進出を阻まれたが、今季最多3ゴールで雪辱を果たした。

 点を取るだけがエースの仕事じゃない。内村が粋な“2・5得点”で、札幌ファンの心をわしづかみにした。まずは前半13分、MF砂川の縦パスに抜け出して、左サイドの角度のないところから技ありの今季初得点を挙げた。昨年11月17日の岐阜戦以来4カ月ぶりの得点でスイッチが入った。

 同21分には再び砂川の左CKを、頭で合わせ2点目。その7分後、前田が倒され獲得したPKのキッカーとして歩み出た。ゆったり助走して、右足でゴール中央に軽く蹴り出した。横っ跳びすると読んで裏をついたが、読まれていた。「跳ぶと思って真ん中に蹴ったら、やられてしまった」。GKにブロックされ自身初のハットトリックはお預けも、最後はDF上原慎が詰め、3点目につながった。

 昨年11月24日の最終北九州戦は、勝てばプレーオフ進出という条件で臨んだが0-0ドローに終わり、夢途絶えた。堅守をこじ開けられず内村はシュート1本、無得点に終わっていた。「あの試合の記憶があったし、何とかやり返したかった」と振り返った。前半30分までに3点リードしたのは、09年11月22日の岐阜戦(4○2)以来4年ぶり。財前監督は「しっかりブロックをつくる前に点を決められたのが大きい」と、たたみかけた攻撃陣の集中力を勝因に挙げた。

 昨年11月の千葉戦で決勝点を決めた際に負傷した内村の左足首痛は、完治してはいない。セウソ理学療法士とのリハビリで痛みは和らぐも、左足をかばうため、右足にも鈍痛が出てきた。家で起きている間はアイシングと電気治療機を両足に交互にあて、治療に専念してきた。「3月中に何とか1点は取らないと」。痛みに耐えながら課してきた自身のノルマを、いきなりのマルチ弾で果たした。

 当然、2点で満足する男ではなく「もっと取れるチャンスはあったし、決めきらないと」と前を向いた。札幌移籍5年目でホーム初勝利弾は初めて。貪欲(どんよく)なエースが、ここから量産態勢に入る。【永野高輔】