左が肝!

 J2札幌は14日、沖縄・南風原町黄金森公園陸上競技場でJ1名古屋と練習試合(45分×3)を行い、0-5で敗れた。この日の3失点を含め沖縄合宿中の3試合8失点中、半分の4点が左サイドから“与えた”もの。一方、得点も10得点中、8点で同サイドが起点になっている。開幕まで残り3週間。15年札幌は、攻守両面で左サイドが、もろ刃の剣になりそうだ。

 やられた傷口に、札幌のストロングポイントがあった。1本目20分、3バック左の福森晃斗(22)、左MF石井謙伍(28)の連係ミスから、名古屋に左サイドを崩された。最後はクロスをFWノバコビッチに押し込まれ、先制点を献上。「僕が一番後ろにいるのだから、しゃべって、前の選手を動かしていれば防げていた」と福森。9日の川崎F戦でも左サイドを崩され、失点している。熊本2次合宿に向けた修正点が、まずは、はっきりした。

 だが、その左サイドは、沖縄合宿中の3戦、攻撃の起点でもあった。12日岐阜経大戦、ナザリトのオーバーヘッドでの先制点も、左MF石井のミドルシュートのこぼれ球から生まれたもの。同戦のニウド2点目も、ボランチ宮沢の左からのサイドチェンジが起点だった。この試合で札幌は9得点を挙げ、8点が同サイドから。宮沢だけでなく石井、前田、榊ら複数の選手がお膳立てし、1本目から3本目まで、休まず機能し続けた。

 この日も、福森から3トップ左の小野伸二(35)に入れた縦パスからチャンスがふくらむなど、可能性のある連係を披露した。「福森からいいボールが入る。自分に入らなくても(中央の)ナザリトに通るようにすれば、いろんな形が出てくる」と小野。仕掛けた際の危機管理、押し込まれた際の意思疎通を熊本で詰めれば、弱点は克服、武器だけが残ることになる。

 3戦すべて左MFで先発出場している石井は「福森は縦パスがうまいので、自分がためをつくれば、伸二さんに入りやすくなる。そこからチャンスができる」とイメージを描いた。5失点の大敗に反省は必要だが、この時期は失敗から修正していくことが大事。小野のいる左を軸とした攻撃を熊本で熟成させ、開幕戦勝利への土台を築いていく。【永野高輔】