日本代表FW本田圭佑(29)が所属するACミランが、同DF長友佑都(29)が所属するインテルミラノとのミラノダービーに3-0で快勝した。

 本田は先発出場し、先制点を好クロスでアシスト。終了間際に交代して退く際には珍しくサポーターから拍手をもらった。長友はベンチのまま出場しなかった。サンシーロ・スタジアムは7万7043人の観客で埋まった。

 本田は試合後、取材エリアで足を止め、大いに語った。やりとりは次の通り。

 -徐々にチームメートとの連係が良くなった

 「内容については、細かいことを言えばいろいろあるが、今日は内容よりも結果が大事な試合なので勝てて良かった」

 -献身的にプレーしていた

 「今、自分の役割はこれをやること。それが一番チームに生きると思っている。今までどちらかと言ったら、みなさんは僕の得点に期待していたりして、そういうところを書いていたと思う。今後は、試合に勝てば『僕が勝たせた』と書いてくれれば。『不発』と書くのではなく。勝った時は『本田が機能させた』と書いてくれればいいかなと。ミランでの得点はあまり求めないでほしい」

 -いいクロスだった

 「アシストでも認められているというところはやっていても感じる。そこでチームメートに認められているというのは感じる。アシストが増えてくることによって、ちょっとだけ僕がボールを持ったときの動きだしが、最初の1年半ぐらいと比べると、日本代表と比べるとまだまだほど遠いけれど、1人、2人くらいまで信頼して走っているなというのが見受けられる。これが3、4人に増えてくると、もっと選択肢が出て、もっと僕が周りを生かすことができる。まだまだ。まあ、今日も実際引き分けにされる危ない場面もあったし結果論。イタリア人はこれで大喜びをするので」

 -先日、イタリア紙のインタビューでサイドはスピードのある選手に向いている。自分の特長とは違うと答えていたが

 「いや、まあ、もともとそんな大量得点するタイプの選手じゃなかった上で、大量得点を目指したり、限界突破をずっと目指してきた選手、というか人間なんで。これはいつも言っているように、例えば選手として、現役はいずれ終わるわけで。なぜ限界突破を目指すかというと、その後の人生のことも考えたりするから、あえて苦難に立ち向かったりするのが、自分だと思っているんで。それを分かった上で、今まで例えばワールドカップでも得点王を目指したりとか、(リーグで)10点も取ったことないような選手が20点、30点を取れるようになりたいとか発言したりしてきた。結果ね、有言実行ができているわけじゃないけど、でも、この歳になると、いつやめるかということも考える。許されるなら、今日の試合でやめたい(笑い)。そうしたらもう少しファンの印象も変わるだろうし」

 -珍しくサポーターから拍手が起きた

 「だから今日もし引退することが許されるなら、ファンは僕への印象が変わるんじゃないですか。一喜一憂するから(苦笑い)」

 -ダービーについては

 「僕以上にイタリア人はこのダービーの重要性を分かっている。僕はみんなが喜んでいるのを客観的にいつも見ているタイプなので。W杯でもCLでもそうだったし。でも、みんなの笑顔を見ているとうれしい。何よりファンの笑顔、選手の笑顔を見ていると、その笑顔がスーパーであればあるほど、やっぱりサッカーをやってきてよかったと思える瞬間だったと思う」

 -これまでのプレーと違った形でチームを勝たせているのもポジティブなのことか

 「まあ、よく言えば、普通の自分の特徴に戻っただけ。今までが常に自分の能力に逆らってきたから。面白いか面白くないかといったら、あんまり面白くない。やっぱり無理して、そんなタイプじゃないのに、そんなことを言ってのける。そんなことをやろうとしている、いつまでも子供でね、いつけがするかわからないのにジャンプしているのが本田圭佑だと思うので。そういう意味では、今年はミランのために自分が何らかの爪痕を残そうとした時に、自分の特徴を生かすプレーに戻っているだけ。そういう考え方」

 -満足感は

 「満足感というか、別にそんなんできるよって感じ。今更? みたいなところがあって。いろんなことができるよと。そんなのは分かっていた。でも、あえて、ここに来て優勝させるというところを、いろいろ高い目標をもってやってきているよと。なかなかでかい組織だから、うまくいかない部分はあるけど」

 -プレーで訴えているのか。組織としてもっと走るようにと

 「練習から言っている。若手の選手には全員言っている。明日は、勝ったから、だいたいみんな中でマッサージ受けただけで終わる。例えば、僕は走る。それで、お前ら何歳や? お前らW杯出たのか? CL出たのか? って。ダービーに勝ったくらいで、翌日の練習をしないのはどういうことだって。っていう話をする。アホかっていう話はいつもしている。それでね、どこまで僕の言っていることが本気で受け止められるかはあいつら次第。でも、少なくとも今のミランの選手は世界トップではない。どれだけ謙虚に向上心を持って、若い選手はまたスーパーなミランを取り戻す、もしくは移籍でビッグクラブに、さらに強いチームに移籍する。そういうことを目指せる野心的な選手が、もっとこう、ミランが作っていかないといけないと思う」