Jリーグ経由でセレソンへ-。来月14日のイングランド戦などに臨むブラジル代表メンバーが27日(日本時間28日)に発表され、東京Vなどで活躍したFCポルトFWフッキ(23)が初招集された。J通算102試合出場の「日本育ち」が、後に世界トップの同国代表に上り詰める例は事実上初めてとなる。昨季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)でチームを8強に導くなどの成長が認められ、W杯の「切り札」として、ドゥンガ監督のテストを受ける。(エリーザ大塚通信員)

 Jリーグ育ちのフッキが、ついにブラジル代表に名を連ねた。今回のメンバーは欧州でプレーする選手だけだが、カカに加え、負傷離脱していたロビーニョも復帰し、ほぼベストメンバーだ。世界に名だたるスター選手を擁し、来年の本大会を占う絶好の機会。そんな大事な一戦に招集された。自宅で吉報を受けたフッキは「最初は確信を持てなかったけど、ブラジル連盟のサイトで僕の名前を見つけて安心した」と話した。

 右足首の靱帯(じんたい)損傷のため、6月のW杯予選、コンフェデ杯での招集は実現しなかったが、ドゥンガ監督からは「動向に注目している」と、スタッフを通じてチェックを受けていた。そしてW杯に向けてチームがつくり直されるタイミングで、あらためて高い得点力が評価された。

 ドゥンガ監督がそうだったように、ブラジル代表だった選手がJリーグで活躍した例は多い。過去にJリーグに所属し、後に代表入りした選手と言えば、V川崎(当時)のアモローゾ、J2仙台のチアゴ・ネービスらがいる。ただし、フッキのように18歳で来日し、Jリーグで4年100試合以上もプレーした選手はいない。まさにJリーグで鍛えられ、成長し、ブラジル代表にまで成り上がった初めての成功例だ。

 フッキは「セレソンでプレーするのがずっと夢だった」と言う。強い肉体と強烈なシュート力を誇り、オフにはレアル、マンU、チェルシーらが獲得に名乗りを上げた。慌てたポルト側が14年まで契約を延長し、移籍金をC・ロナウド級の1億ユーロ(約135億円)に設定したほどだ。

 初招集にもフッキは「1度呼ばれればいいと言うものではない。セレソン不動のFWとしてW杯に優勝したい」。漫画「超人ハルク」から命名された男の超人伝説が、ついに始まった。

 [2009年10月29日9時41分

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