世界記録が間近で見られる!? 2月26日の東京マラソンで先頭集団を先導するペースメーカー(PM)の設定タイムが、世界記録2時間2分57秒を狙える基準とする案が浮上していることが16日、分かった。今年から高低差が少なく、潮風の影響が軽減されるコースに変更になったことなどが理由。序盤から1キロ2分55秒前後のペースとなる可能性もあり、超高速レースで盛り上がりそうだ。

 東京マラソンが世界最速レースとなる可能性が出てきた。東京マラソン財団広報部はPMの設定タイムについて「正式に出場選手が決まり、相談して決まります」と話したが、複数の関係者によると、世界記録の2時間2分57秒を狙えるペースを検討しているという。単純計算で1キロ2分55秒前後が目安となる。

 東京は国内唯一の世界最高峰シリーズで高額賞金大会となる「ワールド・マラソン・メジャーズ」で、世界トップ選手が集結する。主に外国勢に向けた設定タイムだが、世界記録が出れば、大会価値や注目度は高まる。設定タイムは選手の顔ぶれや、気温、風、湿度など気象条件にも左右されるため当日まで変わる可能性があるが、好条件がそろえば、国内では過去に例のない超高速レースとなる。

 背景にはコース変更がある。今大会からより東京の魅力をアピールするともに「記録を狙える高速コース」を目指し、平たんな道となった。前回までは35キロ過ぎから長いアップダウンが続き、潮風の影響を受ける心配もあったが、今回は25キロ過ぎから平らで、湾岸地域もなくなった。国内最高記録は09年福岡国際でケベデ(エチオピア)が樹立した2時間5分18秒。だが今回、一気に世界記録を狙える環境が整った。

 PMは選手の記録に大きく影響する。世界記録保持者キメット(ケニア)が2時間2分57秒をマークした14年ベルリンでは、3人のPMで風よけにもなり、当時の世界記録(2時間3分23秒)を上回るペースで先導した。東京ではPMの人数の詳細などは未定だが、早いラップを安定したペースで刻めば、世界記録へ絶好のアシストとなる。

 日本最大のマラソンの祭典。今年からはトップランナーの世界記録との戦いにも注目が集まりそうだ。

 ◆ペースメーカー 前半の無用な選手間の争いを防ぎ、記録が出やすいように走り、先導する走者で、タイム設定は主催者側が決める。東京マラソンの場合、例年通りなら、30キロでPMは外れる。選手にとっては風よけにもなり、空気抵抗を減らせる。

 ◆東京マラソン 「東京がひとつになる日。」をコンセプトに今年で11回目。毎年、一般参加のランナーからの人気も高く、今年は一般募集の定員2万6370人に対して32万1459人が応募し、抽選倍率は約12・2倍。倍率、申込数とも史上最多だった。大会記録は14年にディクソン・チュンバ(ケニア)が出した2時間5分42秒。