パロディーも、ここまできたら、気に障る-。2大会連続世界陸上男子マラソン代表の公務員ランナー川内優輝(26=埼玉県庁)が4日、埼玉・春日部大凧マラソンのハーフマラソンの部に出場。10キロの部に出場した、ものまねアスリート芸人・M高史(28)の突如の出現に顔色を失った。

 一般ランナーが川内と思いこみ記念撮影を求める列が途切れない。深々と礼儀正しくおじぎする姿勢、ガッツポーズの腕の角度、早口のしゃべり…。違うのは「埼王県庁」の偽ユニホームだけだ。平井堅の歌まねも披露した、駒大陸上部で駅伝マネジャーだったM高史は「握手してもらったのは3回目。おかげさまで今月は3本、ゲスト出場の仕事が入ってます。川内さんが活躍する再現VTRに自分が出てクオリティー高くやりたい」とノリノリだ。

 少々ご機嫌斜めなのは、本物の川内だ。「芸人さんは生きるために必死ですから。パロディー、風刺と思って」と大人のコメントを発したが、ツーショット撮影で笑顔も会話もなし。川内くんも公認?

 の問いにも「公務員が商売、営利(に使われるの)は良くないです」と断じた。

 やはり「埼王県庁」が気に障るのか。川内の胸中を察してか、春日部市体協の佐久間実会長がM高史を呼びつけ「その文字は紛らわしい。訴えられるよ」など注意したが、そこは芸人のたくましさ。「モザイクを入れるか、4文字の羅列を替えるかします」と柳に風だ。大集団後方からスタートし、約5500人の「超ごぼう抜き」で1時間10分超の10番目にゴール(タイムは非公開)した川内も、首をひねるばかりだった。【渡辺佳彦】