「裸の付き合い」で大台突破!

 日本陸連は22日、年間表彰式「アスレティック・アワード」を都内で開催した。男子100メートルで日本人初の9秒台を狙う桐生祥秀(19=東洋大)山県亮太(22=慶大)飯塚翔太(23=ミズノ)の3人は、11月から週1回の合同練習を敢行していることを明かした。風呂まで共にし、互いに刺激し合って記録を伸ばす。

 ありのままの自分で、切磋琢磨(せっさたくま)する。日本人で初の9秒台を狙う若手の精鋭3人が、異例の合同トレーニングに励んでいた。3人では最年少の桐生は、「ホントに裸の付き合いですよ。先輩たちなので貴重な場です」と少し照れくさそうにした。飯塚は「ご飯を食べて、一緒に風呂に入るまでがセットです。共にして、言い合えるような仲になってきてる。良い方向ですね」と手応えを口にした。

 きっかけは9月のアジア大会男子400メートルリレーだった。日本の金メダルが有力視されたが、結果は中国に敗れて銀メダル。選手は危機感を訴え、同じ場所で、同じメニューを行う必要性を説く声が自発的に上がったという。その後、故障で大会を欠場した桐生が練習拠点の1つとする都内の味の素トレーニングセンターでの合同練習が決定。11月から山県と2人、11月末から飯塚が合流し、現在は3人で毎週水曜日に集まる。

 内容は過酷だ。山県は「バチバチやってます」とニヤリ。一緒に走るため、少しでも気が緩めば後方に置いていかれる。良い意味でのライバル心をむきだしにして、追い込んでいる。今後は参加人数も増やしていく意向で、来年1月まで続けていく予定だ。

 日本歴代2位の10秒01を持ち、9秒台に最も近い桐生は「今は普通に全力で走るようになりました」と痛めた左太もも裏の回復は順調な様子。今年の漢字には「悔」を挙げ、年明けには箱根駅伝の沿道で東洋大を応援するという。「みんなでやってやりたい」。先輩に競技内外で刺激を受け、15年は10秒の壁を破ってみせる。【阿部健吾】