IAAF(国際陸連)ワールドチャレンジ第3戦「セイコーゴールデングランプリ陸上2016川崎」が5月8日、等々力陸上競技場で開催される。男子100メートルで日本人初の9秒台を狙う桐生祥秀(20=東洋大)は、世界の強豪との対戦を求めて2年ぶり3度目の出場となった。今夏のリオデジャネイロ五輪決勝進出という目標に向けて、真っ向勝負を挑む。女子100メートルには、3大会連続五輪を狙う福島千里(27=北海道ハイテクAC)が参戦する。

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2年ぶり3度目出場

 「ジェット桐生」が、等々力陸上競技場でスパークする。2年ぶり3度目の出場は、五輪本番を見据えた大事なレースになる。昨夏の世界選手権銀メダルのジャスティン・ガトリン(米国)自己ベスト10秒00を持つ張培萌(中国)らがエントリー。五輪さながらのメンバーとガチンコ勝負は願ってもない絶好の機会だ。

 桐生は3月中旬から約3週間の米国遠征を行った。4月2日には米テキサス州オースティンで「テキサスリレー」に出場。向かい風1・4メートルと風に恵まれずタイムは10秒24だったが、9秒台のタイムを持つ選手3人に勝利している。「もう少し風なしで走りたかったが、いい感じだった。勝てたことはよかった。いい感じで走れるかなと思う」と手応えを口にしている。

 日本人初の9秒台は通過点だ。桐生は、高速トラックで好タイムが出やすいとされる織田記念国際(4月29日)を回避して、セイコーゴールデングランプリに集中している。1カ月の準備期間をじっくりと使って、満を持して世界の強豪たちと真剣勝負するためだ。

 桐生を指導する土江コーチも「(9秒台は)何回か走るうちに出るだろうな、と思います。記録を狙う競技じゃない。五輪の準決勝は最後の数センチの攻防でファイナル(決勝)にいくかどうかが決まる」と目先のタイムではなく、五輪本番を見据えている。20歳になって、たくましくなった「ジェット桐生」が、世界的なスプリンターに挑む。

福島リオへ大幅更新

自己ベストの大幅更新が目標の福島
自己ベストの大幅更新が目標の福島

 女子100メートル、200メートルの日本記録保持者、福島千里(27=北海道ハイテクAC)が「自分超え」で3度目の五輪に挑んでいく。過去2大会はいずれも予選敗退。3大会連続となるリオへの思いは強い。「決勝進出ラインは10秒台。自己ベスト(11秒21)更新だけじゃ勝負にならない。大幅更新のためにもっと頑張る」と気持ちを高ぶらせる。

 過去2大会との違いはすでに両種目ともに参加標準記録を突破していること。気持ちを前面に押し出して走る女王にとっては、心に余裕が生まれ、焦らず普段通りの走りができる利点は大きい。さらにある程度、本番を見据えて調整できる強みもある。冬季の練習を順調にこなし、見守る中村宏之監督も「かなり状態はいい」と話す。福島は「三度目の正直という言葉がある。五輪までに自信を持って戦える記録を出したい」と力を込めた。

成長サニブラウン

桐生と初めて対決するサニブラウン
桐生と初めて対決するサニブラウン

 男子100メートルには17歳のサニブラウン・ハキーム(城西高)も、エントリーした。昨夏の世界選手権北京大会では得意の同200メートルで準決勝に進出して、大ブレークした。ひと冬を越えて、100メートルの自己ベスト10秒28をどこまで伸ばせるか、成長ぶりに大きな注目が集まる。同レースは、日本歴代2位の10秒01を持つ桐生との初対決にもなる。

土井自己新狙う

大学3年生になった土井
大学3年生になった土井

 女子100メートルに福島の背中を追う土井杏南(20=大東大)もエントリーした。高校2年だった4年前は、ロンドン五輪に400メートルリレーのメンバーとして出場。大学3年となって、再び五輪イヤーを迎えた。2度目の五輪出場に向けて、自己ベストの11秒43を超えるような走りが期待される。

筋力向上した新井

安定感抜群の新井
安定感抜群の新井

 男子やり投げで日本選手権2連覇中の新井涼平(24=スズキ浜松AC)がブラジルへの一撃を突き刺す。リオ切符がかかった昨年の世界選手権では、入賞で内定だった8位と6センチ差の9位。わずかな差は、世界の頂点に駆け上るための悔しさに変えて、オフは体作りに励んできた。「全体的なパワーアップを」と温暖な沖縄を拠点に筋力向上。ベンチプレス190キロを上げる新たな肉のよろいは、「絶対に飛距離は伸びる」と自信作だ。コンスタントに80メートル以上を投げる安定感は随一。24歳の勢いを、そのままやりに伝える。

山本ここ一番集中

GGP川崎を足がかりにリオ五輪を目指す山本
GGP川崎を足がかりにリオ五輪を目指す山本

 男子棒高跳びの山本聖途(24=トヨタ自動車)が五輪イヤーに飛躍を期す。今季初戦となった3月17日の世界室内選手権(米ポートランド)は、5メートル55(室内の自己ベストは5メートル77)で10位とまずまずのスタートだった。13年の世界選手権で6位入賞したが、昨年の世界選手権は予選落ち。「過去の栄光は忘れるようにしている」。ここ一番での集中力には定評がある。再び世界へ、川崎を足掛かりとする。

【大会概要】

◆大会名称
IAAF(国際陸連)ワールドチャレンジ第3戦「セイコーゴールデングランプリ陸上2016川崎」
◆日時
5月8日
◆会場
川崎市・等々力陸上競技場
◆実施種目
◆ワールドチャレンジ種目
▽男子=100メートル、200メートル、400メートル、800メートル、3000メートル、110メートル障害、400メートル障害、走り高跳び、棒高跳び、円盤投げ、やり投げ
▽女子=100メートル、800メートル、400メートル障害、3000メートル障害物、走り高跳び、走り幅跳び、3段跳び、やり投げ
◆オープン種目
▽男子=走り幅跳び
▽女子=200メートル、400メートルリレー、1600メートルリレー
▽パラリンピック男子=100メートルT43/44
※種目が変更になる場合もあります
◆関係団体
〈主催〉日本陸上競技連盟
〈共催〉川崎市、朝日新聞社、日刊スポーツ新聞社
〈主管〉神奈川陸上競技協会
〈後援〉川崎市教育委員会、川崎市スポーツ協会、TBS、かわさきFM
〈特別協賛〉セイコーホールディングス
〈協賛〉アシックスジャパン、大塚製薬、日本航空、ニシ・スポーツ、セレスポ
◆大会HP
http://goldengrandprix-japan.com/