フランス南西部ボルドーで開催中だったフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ、フランス杯が14日、パリの同時多発テロの影響で中止となったことを受け、宇野昌磨(愛知・中京大中京高)は「僕が感じる気持ちもたくさんあるが、それ以上に今回のことでたくさんの方が犠牲になられて、本当に言葉がない」と語った。

 13日の男子ショートプログラム(SP)で首位に立ち、14日は午前中の公式練習で何度もジャンプを跳んだ。普段通りの様子でフリーの演技に備えていたが、練習後に戻った宿舎で中止の知らせを聞いた。国際スケート連盟は、SPの成績をそのまま12月のGPファイナル(バルセロナ)出場を争うポイントに換算する方向で、確定すれば初の進出が決まる。それでも「出られた気持ちは今、考えてはいけないと思う。いつでも出られる状態で練習して、また試合に向けてレベルアップをしたい」と話した。

 女子SP4位の村上佳菜子(中京大)は宿舎出発の直前に中止を知った。「フリーを滑りたかったが、自分のことを言っている場合ではないので」と神妙な表情だった。

 日本チームの関係者は出発の予定を当初より1日早め、日本に帰国する選手の飛行機は経由地もパリを避けるように変更するなど、慌ただしく対応に追われた。