【台北=高場泉穂】今季グランプリ(GP)ファイナル銅メダリストの宇野昌磨(18=愛知・中京大中京高)は、表彰台を逃した。ショートプログラム(SP)2位からの逆転を狙ったが、4回転ジャンプのミスなどでフリーの得点が176・82点と伸びず、合計269・81で4位に沈んだ。無良崇人(25)は5位、田中刑事(21)は6位。パトリック・チャン(カナダ)がフリー1位でSP5位から逆転し、4年ぶり3度目の優勝を果たした。

 演技を終えた宇野が、首をかしげた。最初の4回転トーループは勢いのあまり傾き、後半の4回転-3回転は、最初のジャンプの着氷時に片膝をついて連続技に持ち込めず、大幅に減点された。「モヤモヤ感が残る」演技で、昨年5位で逃した表彰台に、また届かなかった。

 攻めの姿勢を失っていた。ジュニア時代から表現力に定評があり「高橋大輔2世」と呼ばれてきた逸材。今季のシニアデビューに合わせ、それまで敬遠していたバレエに取り組み、専門のコーチの元、体のバランス補正に取り組むなど、高いレベルについていこうと必死に努力を重ねてきた。GPファイナル初出場での3位は、その勢いがそのまま出た形だった。「危機感は、GPファイナルや(シニアデビュー戦)ジャパンオープンの方があった。もっとやってやろうと思っていた」。気の緩みに気付けたことが収穫だった。

 初の世界選手権(3月30日開幕、米ボストン)ではチャン、金、羽生らとのハイレベルな戦いが予想される。宇野は「4回転ループを入れたい。その方がモチベーションが上がる」と史上初の技への挑戦も視野に入れた。「結果で返す」と再び挑戦者になって大舞台に臨む。