世界6位の錦織圭(26=日清食品)が、9年越しの初勝利で4年連続のベスト8進出を決めた。同12位のガスケ(フランス)に6-4、7-5の1時間39分でストレート勝ち。08年ジャパンオープンでの初対戦から6戦全敗と大の苦手としていた天敵相手に初白星を挙げた。準々決勝は、キリオス(オーストラリア)-クエバス(ウルグアイ)の勝者と対戦する。

 ついに勝利を手にする時がやってきた。4本目のマッチポイントでガスケのバックがアウトになると、錦織はじっくりと勝利をかみしめた。「いい準備ができていた。特にリターンが良かった。結果に満足している。もっと上を目指していきたい」。

 終始、主導権を握り続けた。第1、2セットともに、最初にサービスゲームを破ったのは錦織だった。リードしながら、追いつかれても冷静に対応。第2セット5-4でマッチポイントを握りながら追いつかれた。さすがに勝ちを意識して硬くなったが、それでもストレートで突き放した。

 08年ジャパンオープン3回戦で初対戦。敗れた時に「尊敬しすぎた」と敗因を話した。ガスケは一目置く選手。意識しすぎるあまり、普段のプレーができなかったが、この日は最後まで冷静に対応。7戦目にして初勝利を奪った。

 この1勝が持つ意味は大きい。現在のトップ20で錦織が勝ち星を挙げていない選手はいなくなった。「今度からは強気にいける」。大きな関門をクリアし、マスターズ初制覇にまた1歩前進した。【吉松忠弘】