東地区の山形ワイヴァンズが、西地区の島根に38-76で惨敗を喫した。ダブルスコアは今季開幕したB1、B2リーグで初の結果。38得点はB2リーグ最低得点を記録した。幾多の名勝負、ハプニングを繰り広げてきた「ワイヴァンズ劇場」も、今回ばかりは不名誉な結末に。14勝16敗で前半戦を折り返した。

 これは高校生の試合ではない。プロの試合である。だが、相手の出足の鋭いプレスディフェンスに押し込まれると、山形のシュートが全く入らない。64本打って決まったのはわずか15本。24勝6敗で西地区2位の島根が相手とはいえ、成功率23%はひどすぎた。試合後、会見に臨んだ棟方公寿ヘッドコーチ(HC、50)は「38点は人生で初めて。屈辱的な点数。内容どうのこうのではなく、やろうとしているベクトルが伝わってなかった」とうなだれた。

 40分間、空回りし続けた。本来ならガード陣が積極的に切り込んでペースをつかむが、試合を通じて集散の速い相手防御網を突破できなかった。苦し紛れに打っては外し、逆にイージーショットを次々と決められた。この日、8得点でチーム最多タイとなった伊沢実孝(23)は「ひどい試合。打てるのにドリブルしたり、タフなショットを打ってしまった」と下を向いた。

 観戦に訪れていた吉村和文社長(56)も厳しい言葉を並べた。「勝った負けたの前に、パッションが伝わってこない。チームの体をなしてない。チケットを買ってくれたお客様にも失礼」。昨年もシーズン途中で補強して立て直した例を引き合いに出し「いろんな意味で、少し血を入れ替えないといけない。チームの柱がいないね。抜本的改革のガラガラポンが必要」と緊急補強を明言した。

 今季初の3連敗。今年初のホーム戦勝利を逃しても、ブースターは信じている。昨季故障者が相次ぐ中、わずか「7人の侍」で勇敢に戦い抜いたDNAが、今季のチームにも受け継がれていることを。棟方HCは力を込める。「やるべきことを徹底できてなかった。一からやり直します」。後半戦残り30試合。まだ巻き返す時間はある。【高橋洋平】

 ◆ダブルスコアと最低得点 今季消化されたB1の284試合、B2の270試合を通じてダブルスコアは初。B3で行われた110試合では、6度ある。B1の最低得点は16年10月22日の京都37-66三河。B2は山形の38得点。

<ワイヴァンズ劇場メモ>

 ▼15年11月18日 中川の無免許運転が発覚し、契約解除。

 ▼12月6日 新外国人ジェニングスが体調不良で豊田通商戦を欠場。復帰することなく同28日に契約解除。その後故障者もあり、7人で勇敢に戦う姿が「7人の侍」と称された。

 ▼16年1月1日 柏倉が左足の故障で全日本総合選手権を欠場。以降3回戦までの3連戦を6人で戦う。

 ▼15日 卒業を目前に、明大を中退した伊沢が「おとこ気」入団。

 ▼3月25日 ロールがタクシー乗車中に追突され、27日のプレーオフは4位に終わった。シーズン終了後にロールは退団。

 ▼9月23日 B2リーグ開幕前日、家庭の事情のため、昨季の大黒柱ナイトを契約解除。同時に新外国人ターバーと契約。

 ▼10月7日 肩の負傷により、今季から加入した新外国人ロペスを契約解除。