早大の埼玉県所沢キャンパスが20年東京五輪のイタリア選手団事前合宿地に決まった。

 19日、都内のイタリア大使館で行われた覚書締結式に臨んだ鎌田薫総長(69)は「イタリアは私たちにとって最も重要なパートナー。28機関と29の学術協定を結んでいます。09年には学内にイタリア研究所も開設しました。今回の覚書締結はうれしいし、名誉なこと。早大とイタリア、埼玉県、所沢市が交流を深めるきっかけになる」と語った。

 早大は所沢キャンパス内の陸上競技場、競泳、飛び込み用プール、2つの体育館やトレーニングルームをイタリア選手団の調整用施設として提供。また、陸上、水泳を中心に複数競技の200人を超える選手受け入れへ、キャンパス隣接地に107人収容の宿泊施設を新設し、50人収容の競争部(陸上部)選手寮の開放も考慮するという。

 来賓として招かれた森喜朗2020東京五輪・パラリンピック組織委員会会長(80)は「決して優秀ではなかったが、私も卒業生。もう60年も前の話ですが、OBとして喜ばしいことです」と笑いを誘いながら、母校の合宿地決定を祝福した。アジア初の個人金メダリスト、28年アムステルダム大会の陸上3段跳びを制した織田幹雄をはじめ、400人を超えるオリンピアンを生み、56人のメダリストを輩出した早大が、新たな形で五輪に関わることになった。

 覚書締結式には上田清司埼玉県知事、藤本正人所沢市長も出席。イタリアオリンピック委員会のカルロ・モルナーティ副事務総長と文書にサインを交わした。今後、早大、所沢市がイタリア側と協議を重ねて具体的な競技・種目などを確定し、来年12月に正式契約を交わす予定という。