指導していた大学の女子柔道部員に遠征先で乱暴したとして、準強姦(ごうかん)罪に問われたアテネ、北京両五輪の柔道金メダリスト内柴正人被告(34)は12日、東京地裁(鬼沢友直裁判長)の初公判で「合意の上で行為に及んだ」と無罪を主張した。

 検察側は冒頭陳述で、内柴被告がコーチを務めていた九州看護福祉大(熊本県玉名市)女子柔道部の合宿に同行した際、女子部員ら数人と飲酒し、酔って気分が悪くなった被害者をホテルに連れ帰り、寝ている間に乱暴した、と主張。

 起きた被害者が「何してるんですか」と大声で叫ぶと、テレビの音量を上げたり、口をふさいだりし、その後も被害者に事件を他言しないよう求めた、と指摘した。

 弁護側も冒頭陳述し、「寝かせようとしたらしがみついて離れなかった」と反論。「途中で別の部員が被告を捜しに部屋に来たが、部員が出て対応し、その後も行為を続けた」と述べ、準強姦罪は成立しないとした。

 起訴状によると、被告は昨年9月20日未明、東京都八王子市のホテルの部屋で、酒に酔って熟睡し、抵抗できない部員を乱暴したとしている。

 今後、12月27日の結審まで7回の公判期日が指定されており、判決は年明けの予定。

 被告は2004年アテネと08年北京の66キロ級で連覇。10年4月から九州看護福祉大でコーチとなり、現役引退後は客員教授に就任したが、昨年11月に懲戒解雇された。

 翌月には全日本柔道連盟が指導者登録を停止し、柔道家としての活動ができなくなった。