日本ラグビーでただ1人、W杯2大会(03、07年)で主将を務めたNO8箕内拓郎(39=NTTドコモ)が17日、現役引退を発表した。大阪市内のクラブハウスで会見に臨んだ箕内は「ラグビーを始めて33年。家族、チームメート、スタッフ、サポーターに恵まれた、本当に幸せな現役生活でした」と心境を語った。来季はFWコーチとしてNTTドコモに残留し、指導者として再出発する。

 引退理由は水晶体亜脱臼によるドクターストップだった。13-14年シーズンにまず左目を負傷。昨夏の練習試合で右目を負傷したことで、手術を受け、今季は出場機会がなかった。今後コンタクトスポーツを続ければ、最悪の場合は視力を失う可能性もあると告げられたという。「周りでは40歳まで、50歳まで、と言われたけど、ボクサーでも滅多にない症例のようですし…。他の部位の負傷ならリハビリして復帰という選択肢も考えられましたが『これも運命かな』と比較的自然と受け入れられました」と決断を振り返った。

 97年度の大学選手権で、関東学院大の主将として初優勝を経験。卒業後は英国のオックスフォード大に留学し、98年のケンブリッジ大との定期戦に出場、日本人では林敏之氏以来2人目の「ブルー」の称号を得た。トップリーグではNECで02年度日本選手権に優勝、10年度から当時下部リーグ(トップウエスト)のNTTドコモに移籍し、同年度の昇格に貢献した。

 輝かしい実績を残した“レジェンド”は日本代表の大先輩で、釜石シーウェイブスのNO8伊藤剛臣(43)を引き合いに出して「岩手県の某チームの先輩より早く辞めることだけが心残りです」とジョークで締めくくった。