<フィギュアスケート:全日本選手権>◇23日◇大阪なみはやドーム

 2010年世界選手権優勝の高橋大輔(25=関大大学院)が、国際スケート連盟(ISU)非公認の参考記録ながら、“世界最高超え”の96・05点で首位に立った。ショートプログラム(SP)の冒頭で4回転-3回転の連続ジャンプを、05年世界選手権以来7シーズンぶりにSPで決め、今年の世界選手権でパトリック・チャン(カナダ)が記録したISU最高得点の93・02点を上回った。

 高橋が、軽々と4回転からの連続ジャンプを決めた。高さも十分。あまりにも楽々と決め、完璧な着氷だったため、3回転と見間違う人が続出するほど。「成功するとは思っていなかった。でも、できてしまえば簡単なんだな(と思う)」と、高橋自身も、自らの出来に驚いた。

 得点が出ると、会場を埋め尽くした観客がどよめいた。100点に近づく96・05点。全日本はISU非公認大会のため、世界最高点には認定されないが、チャンの公認大会での最高記録を3・03点も上回った。演技の出来栄え点(GOE)はすべて加点。8点台が出れば高得点とされる芸術面を表す5項目は、4項目で9点台をマークした。

 それでも高橋は「80点ぐらいかな」と満足していない。4回転を決めたあと「逆に緊張して、足ががくがくしてしまった」。3回転半ジャンプも「危うかった」し、ステップも「フラフラしかけた」。それでも2位の小塚に10点以上の大差をつけ5度目の優勝に向け、大きく前進した。

 4月の昨季の世界選手権で5位にとどまり、ソチ五輪までの現役続行を宣言した。今季は3年後を見据えて過去に取り組まなかったことに挑戦。苦手だった柔軟運動やバレエのレッスンに積極的に取り組み、フリーでは初めてブルースの曲を取り入れた。

 この日は当初、4回転を回避する予定だった。しかし「やっぱり攻めた方がいいかなと思った」。SPで4回転を跳ぶ羽生に対しても「負けず嫌いが出たと思う」。まだまだ元世界王者のチャレンジ精神は衰えていない。