日本男子の次代を担う羽生結弦(18=ANA)は、世界王者との距離感を感じながら、逆にそれを発奮材料に成長を続ける。3年連続のグランプリ(GP)ファイナル(5日開幕、福岡)は、世界選手権3連覇中のパトリック・チャン(カナダ)との今季3度目の対戦となる。昨年は2度ショートプログラム(SP)で世界歴代最高点をマークし大躍進した。ソチ五輪でのメダルを意識するからこそ、チャンの存在がより大きなものになっている。

 今季初対決はGP第2戦スケートカナダ。フリーで4回転ジャンプの転倒から崩れ、合計234・80点で2位。262・03点で優勝のチャンに「妥当な点差」と完敗だった。2戦目は第5戦フランス杯。チャンは世界歴代最高の合計295・27点で圧勝。羽生は合計263・59点の2位だったが、その表情は初対決と違った。フリーで4回転ジャンプをミスしながら、今度は立て直して演技をまとめてみせた。

 「練習の方向性を見極めやすい」。チャンの存在をいまはそう考える。高い壁だからこそ、越えるために克服すべき課題が明確になる。3度目の対決となるファイナルでも、世界王者の背中を追う。