無気力相撲をチェックする日本相撲協会の監察委員会が、夏場所千秋楽で対戦した大関千代大海(33)と関脇把瑠都(24)に対し、2人の師匠である九重親方(元横綱千代の富士)と尾上親方(元小結浜ノ嶋)を呼び出し、注意を与えていたことが29日までに分かった。友綱監察委員長(元関脇魁輝)が明かした。

 同取組では、かど番大関で勝ち越しをかけた千代大海が、ひざなどに故障を抱え、すでに負け越しの決まっていた把瑠都を押し倒しで下していた。同委員長は「両力士に対し、審判部から『敢闘精神に欠ける』という指摘があったため、打ち出し後に2人の師匠を呼び出して注意した。どこが悪くても、土俵の上では精いっぱい取ってもらわないと困る」。両師匠は「本人に注意しておく」と話したという。同委員長は「今のところ理事会にかける案件ではない」としながらも「こういった(無気力とも取られかねない)相撲が繰り返されるなら、処分もありうる」と話した。

 協会広報部によると、大関が無気力相撲で注意を受けたのは72年春場所12日目の琴桜-前の山の大関対決以来。92年春場所6日目にはハワイ出身同士の一番で、大関小錦に敗れた前頭筆頭の武蔵丸が注意された。