大相撲名古屋場所で暴力団関係者が観戦した問題に木瀬親方(40=元幕内肥後ノ海)が関与したとして、閉鎖となる木瀬部屋の力士らの受け入れ先が29日、北の湖部屋に確定した。力士数は合計46人(夏場所番付)となり、角界最多。40人を超える部屋の誕生は、98年秋場所の二子山部屋以来、12年ぶりになる。

 部屋で静養中の木瀬親方がこの日午後、北の湖親方(57=元横綱)に電話で依頼。同じ出羽海一門で、場所前には互いに出げいこで鍛え合ってきた事情もあり、了承を得られた。木瀬親方は「相撲をとれる環境が大事。力士やファンの皆様に迷惑をかけた」と話した。

 受け入れる側の北の湖親方は「(木瀬親方が)ここまで弟子を育てて、努力してきた気持ちは、察してあまりある。相撲をとれる環境を早く、つくらなければならないと、痛感している」と理解を示した。31日にも日本相撲協会に転属届を提出し、理事会(持ち回り)をへて承認される。

 木瀬部屋から27人の力士が引っ越すことになるが、北の湖部屋の荷物などを整理すれば、住環境は確保できる。当面は木瀬部屋の土俵も利用して、番付上位と下位に分かれ、2カ所でけいこする可能性もあるという。木瀬親方は部屋付きの親方として指導に当たる。

 この日、両国国技館には一門の師匠が集まり、北の湖親方、出羽海親方の両理事が、27日の理事会で処分が下された事情などを説明した。親方が処分されただけでなく、結果的に力士にまで影響が及んだが、再起への手はずが整ってきた。