前代未聞の「謹慎場所」は、千秋楽までドタバタ続きだった。日本相撲協会は25日、愛知県体育館で臨時理事会を開き、本来は25日の名古屋場所千秋楽で職を解かれる予定だった村山弘義理事長代行(73)が、26日以降も代行職を続けることを決めた。期間は、武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)が病気療養から復帰するまで。同理事長はこれまで、協会ナンバー2の出羽海理事(元関脇鷲羽山)を26日からの理事長代行に指名し理事会も承認したが、これを覆した。

 土俵は横綱白鵬がしっかり締めくくったが、日本相撲協会は、最後までドタバタ劇を演じた。理事長代行の人選が、千秋楽に急展開を見せた。武蔵川理事長の指名により、26日からの代行職は出羽海理事が務めるはずだった。23日の理事会でも承認されていたが、この日突然、翻った。

 理由は、出羽海理事の「不手際」による。5月の夏場所で、暴力団関係者が維持員席で観戦。自らが最高顧問を務めるボクシングジム会長が入場券手配に関与したとして、特別調査委員会の山口弘典氏(日本プロスポーツ協会副会長)は23日に解任された。出羽海理事は、問題直後に山口氏から報告を受けていたが、武蔵川理事長への報告を怠っていた。これが、この日の理事会で疑問視された。

 ある理事から「まずいのではないか」との指摘が出ると、ほかの理事たちも賛同。ところが、出羽海理事に代わる理事長代行を決める作業が難航した。

 4人の名前が候補に挙がった。巡業部長を務める放駒理事(元大関魁傑)は、直後に控える東北巡業を優先。前理事長の北の湖理事(元横綱)は拒否した。名古屋場所担当部長の二所ノ関理事(元関脇金剛)は場所の事後処理があるため、三保ケ関理事(元大関増位山)は副理事という立場から、見送られた。

 村山理事長代行が続投との意見が出たが「家族旅行を予定しているから」などと固辞。もともと、理事長職を「激職」と表現するなど、乗り気ではなかった。しかし、最終的には理事の総意で、続投となった。二所ノ関理事は「今日まで乗り切ったし、みんなで頭を下げてお願いした」と振り返った。

 武蔵川理事長には、電話で事情を説明し、村山氏を指名し直すことで一件落着。村山理事長代行は「皆さんから真摯(しんし)なご意見があったので、逃げるわけにはいかない。決意を新たにしました」と話した。理事長の復帰は、8月10日ごろの見込み。26日午前0時で、謹慎者の謹慎期間が終わっても、まだ平穏な日は訪れそうにない。