<大相撲初場所>◇13日目◇20日◇東京・両国国技館

 初優勝を果たした大関把瑠都(27=尾上)の横綱昇進に、高いハードルが設けられる見通しとなった。横綱審議委員会の鶴田卓彦委員長(84=元日経新聞社長)は20日、2場所連続優勝でも横綱に推挙しない可能性を示した。

 横審の横綱推薦の内規では「大関で2連続優勝した力士を横綱に推薦することを原則とする」と記されている。平成以降に誕生した7人の横綱はすべて、大関で連続優勝を果たして、昇進を決めた。ただし、横審委員の3分の2以上の決議がなければ推薦されない。

 「連続優勝なら昇進させるという考えの人もいるけど、そう簡単にはいかない。自動的に昇進するという決まりはない。あくまで原則で、最近の慣習。相撲内容が大事で、優勝したとかしなかったではない」

 同委員長の評価が厳しい理由の1つは、12日目の稀勢の里戦で見せた立ち合い変化にある。

 「大関が立ち合いで変化してはダメ。模範を示さないといけない。大きな体で、ああいうことをしては見苦しいし、評価されない。ああいうことをやっていると、綱どころじゃない」

 来場所のノルマは、今のところ考えていないという。重視するのは、相撲内容と品格だ。「品格ない相撲は評価できない。厳しくしないといけない」。残り2日間に加え、春場所(3月11日初日、大阪府立体育会館)の15日間が勝負になる。横綱になる資格があるかどうか、把瑠都が結果と内容で示すしかない。【佐々木一郎】

 ◆横審横綱推薦の内規

 (1)横綱に推薦する力士は、品格・力量が抜群であること(2)今後の横綱推薦に対しては、横綱審議委員会は大関で2連続優勝した力士を横綱に推薦することを原則とする(3)第2項に準ずる好成績を挙げた力士を推薦する場合は、全委員の3分の2以上の決議を必要とする(4)品格については、協会の確認に基づき審議する。