<北海道地区大学選手権:函館大4-2北海学園大>◇15日◇札幌円山

 函館大(道6大学)が延長10回のすえ、北海学園大(札幌6大学)を下し、21年ぶり2度目の代表を決めた。秋季リーグで3勝、東農大生産学部との優勝決定戦でも完投勝利を挙げた大黒柱・佐藤将太郎投手(2年=横浜創学館)が6安打2失点も12奪三振、160球の粘球で完投。今年から設けられた北海道代表枠1を争う道6大学と札幌6大学の決定戦を制した。本大会は11月14日から東京・明治神宮球場で開催される。

 函館大・佐藤将は160球目、最後の打者を見逃しの三振に取ると2歩、3歩とゆっくりマウンドを降りた。駆け寄ってくる土屋捕手、熊沢一塁手を見て、両手を上げて喜びを表した。

 2年生ながらエースとして臨んだ大一番。最後の最後まで楽はできなかった。1点リードの9回裏。先頭打者に死球、犠打で送られた後、シュートが甘く入ったところを二塁打で同点にされた。なおも四球で1死一、二塁のサヨナラのピンチ。坂内俊喜監督(53)から「お前に任せる。決着つくまで投げろ」とゲキを飛ばされ、後続を三振、遊ゴロに切った。10回裏も2死一、二塁と長打で逆転の場面を抑えた。坂内監督は「よく粘って投げてくれた」とエースをたたえた。

 佐藤将は「調子はよくなかったが、それなりに投げられた。スタミナには自信があるんで何回までもいけました」と苦笑いした。最速144キロの右腕だが身上は制球力。函館大投手陣にはゴムバンドで四隅に区切った的に10球ずつ投げる練習が課せられる。7割以上がそこを通過しないと試合では使ってもらえない厳しいものだ。投手担当の中山俊之助監督(58)は「8割をキープしている」と驚く。相手打者の得意コースからわずか10センチ差に投げ分けられる制球力でこの日、12三振を奪った。

 エースの粘りに最後は打線が応えた。延長10回、1死一、三塁で山口がバスターから三塁線にたたきつける内野安打で待望の勝ち越し点。この秋打撃不調の長谷川はアイコンタクトで坂内監督にスクイズのサインを要求した。投前に転がして貴重な4点目をあげた。

 前回88年は代表となりながら、昭和天皇の容体悪化で大会が開催されなかった。多くの先輩たちの思いも詰まった神宮切符。坂内監督は「当時の人たちも応援に来てくれると思う。勝ちたいね」と誓っていた。【中尾猛】