巨人はスタメン捕手に、ベテランの炭谷を起用した。個人的な予想ではあるが、打力を買って正捕手として起用していた大城が、ここにきて打撃が不調。それならば「点をやらない野球」に切り替えて、炭谷をスタメン起用したのだろう。結果は大正解だった。

ベテランらしい“勝負勘”だった。5回表に2点を先取されながら、その裏に逆転。6回表の広島は1番から始まる打順だが、なんとしても無得点に切り抜け、1点のリードを死守したい場面だった。しかし2死三塁のピンチ。4番の鈴木誠を迎えた。打たれれば同点だし、歩かせても勝ち越しの走者になる。それでもカウント3-1から外角のボール球を要求し、勝負を避けた。

次打者の坂倉には、前の打席で内角の厳しい直球を打たれていた。カウントを稼げる球はスライダーしかなく、無理に勝負にいけば「危ない」という予感は、プンプンに匂っていた。それでも四球で歩かせれば満塁のピンチ。厳しく内角を攻めれば押し出し死球もあるし、逆転の走者は得点圏に進む。しかし無理しての勝負を避け、四球になった。

計算通りとは言わないが、この回にピンチを迎えれば「クロンで勝負」という考えがあったのだろう。クロンは第1打席も第2打席も空振りの三振に抑えている。スイングを見ても、外に逃げていく球と低めに落ちる球にはからっきしで、内角への速い球にも対応できていない。満塁のリスクを差し引いても、クロンと勝負した方がいいと感じていたのだろう。結果、フルカウントから内角高めの見逃せばボールくさい球で一塁へのファウルフライに打ち取り無失点に切り抜け、勝利をたぐり寄せた。

広島サイドからすると、クロンの起用は考え直さないといけない。コロナの影響で離脱者が多く、それどころではないのだろうが、打てないポイントが多すぎる。特に右投手に分が悪く、今試合前まででも60打数で打率1割8分3厘。22三振もしているのだから、バットに当てれば得点になる状況でも期待はできない。3割8分1厘の左投手の対戦に限定するか、7番か8番に打順を下げた方がいい。

両チームとも離脱している主力選手が多く、苦しい戦いが続いている。出場できる選手でやりくりするしかない。炭谷の起用でやりくりした巨人と、クロンを6番に起用した広島との差が、勝敗を分けた。(日刊スポーツ評論家)

巨人対広島 6回表広島2死満塁、一邪飛に倒れ悔しげなクロン(左)。投手戸郷(撮影・垰建太)
巨人対広島 6回表広島2死満塁、一邪飛に倒れ悔しげなクロン(左)。投手戸郷(撮影・垰建太)