首位阪神が加速するどころか勢いを止められた。今季2試合目の対戦だった中日柳には、これで計17イニング無得点になった。

山田 まさに完敗だった。前半から凡ミスで大量失点、柳にほんろうされ、追い上げムードも、反発力もなかった。柳は良くないほうだった。もともと多彩な変化球で、「ボール」に緩急をつけながら投球術で打ちとった。それが今季は「フォーム」で微妙にタイミングをずらす術を身につけたことで、どのチームもてこずっている。阪神もそこにはまった。

一方、阪神西勇はまたしても踏ん張れなかった。

山田 前日(19日)のDeNA戦で先発した藤浪が好投していれば、チームにもちょっとは余裕が生まれたはずだ。でも西勇らしさを失っている。ガンケルが先発ローテーションに戻って調子が良いと判断できれば、先発を1度ぐらい飛ばす手はある。でも代わりがいればいいが、今の先発陣にファームで再調整させる余裕はない。

ビジターが続いている阪神は途中でサンズ、梅野らをベンチに下げた。

山田 主力選手を下げるのはこういった展開で、気分転換の意味でも許される。しかし、それもここまでだろう。今後は厳しい戦いが続くし、このようなビハインドも大逆転するゲームを作らないといけない。後で振り返ったとき、あの試合が大きかったといえるような。だからこれからは選手を甘やかすような休みはいらない。

巨人、ヤクルトを突き放す気配は感じられない。

山田 巨人はともかく、ヤクルトが意外としっかり戦っている。リリーフ陣の登板がかさんでいるのも懸念されるが、今後先発陣が不安定になってきたら、うまくリリーフで勝ちにいく戦略も有りだろう。ここからは絶対に優勝するぞと、個々がどれだけ強い意志で戦えるかだ。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

中日対阪神 9回表阪神2死一塁、三振に倒れベンチに引き揚げる大山(撮影・上田博志)
中日対阪神 9回表阪神2死一塁、三振に倒れベンチに引き揚げる大山(撮影・上田博志)