首位の阪神は17日に中日を甲子園に迎えたが、台風接近のため順延となった。日刊スポーツ評論家の山田久志氏(73)が今後の矢野阪神の戦いについて展望を語った。

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阪神にとっては絶好のタイミングで雨天中止になったといえる。今もっとも手ごわいのは中日で、しかも相手先発は大野雄、柳だったから、この雨はチームを気分的に楽にした。

阪神のチーム成績に、試合日程、対戦カード、開催球場などをみると、阪神が優位だろう。ただ引き分けの多い巨人、ヤクルトが連勝すると、勝率がグッと上がるから油断はできない。

優勝を狙うチームのペナントレースというのは、ここからが長く感じるものだ。阪神は連敗すると、いっぺんに詰められて焦りが生じるから、ここからは連敗しないことだ。

前にも述べたが、阪神は3日からの対巨人で劇的な2勝1分けの試合ができた。あの戦いが最後まで尾を引くとみている。巨人との直接対決に生かせればいけるし、そうでなければもつれる。

ヤクルトは不気味だと思ったが、打線に迫力を感じるものの、リリーフ陣がバテてきたから、ピッチャーがもつかなという感じになってきた。巨人もリリーフがしんどい。そこがこの2チームの弱みだ。

阪神は岩崎、スアレスが頼りになる。だからカギを握るのは先発ピッチャーだ。陰りがみえる先発が抑えて、いい形で2人につなぎたい。勝ちパターンの試合をどれだけ積み重ねることができるかだ。

さらに優勝争いが深まってくると、どのチームも打てなくなる。阪神も“足”が使えず、開幕直後のようなイケイケドンドンのゲームはしづらい。だからこそ「投手力」が決め手になる。

打線が活気づくとしたら、佐藤輝が再び上に上がってくる時だろう。個人的には、早く上げてもいいと思っているが、どの時点で上げてくるかは興味深い。

現状の阪神は、相手チームを圧倒しているというより、勝ちを拾っている印象のほうが強い。佐藤輝がシーズン前半にみせたような活躍をすれば、再び勢いがつくだろう。

巨人、ヤクルトにすれば、ここからの1敗は、ただの1敗でなくなってくる。今後の10試合ほどの戦いぶりによって、Vの行方が見えてくる。(日刊スポーツ評論家)