オリックスが連勝を逃して1勝1敗になった。宮城が終盤の8回1死から西浦にこの試合初めての四球を出したのは“危険信号”だった。実戦から遠ざかっていたこともあったし、疲れがみえる場面でもあったからだ。

投手担当の高山コーチがマウンドにいったのも、それを察したからだろう。継投のタイミングだが、あの回に宮城を代えるわけにはいかなかった。その後、2死から1番塩見に三遊間を破られ、一、二塁のピンチを迎えてもスイッチは考えにくい。

オリックス対ヤクルト 8回表ヤクルト2死一、二塁、宮城は青木に中前適時打を打たれ失点する(撮影・加藤哉)
オリックス対ヤクルト 8回表ヤクルト2死一、二塁、宮城は青木に中前適時打を打たれ失点する(撮影・加藤哉)

宮城は6回1死までパーフェクトに封じ込んだ。山田を無安打、村上も左前打だけに抑えるなど、ヤクルト打線はどの球種でも打ち取ることができる投球にてこずった。中嶋監督が宮城続投を決断したのは当然だった。

また前日20日のシリーズ初戦の8回、4番村上に中越え本塁打を浴びたヒギンスを外し、バルガスと入れ替えて最善の策を尽くしていた。豊富な投手陣を抱えるオリックスだが、それを差し引いても、8回は宮城に任せるべきだった。

ただ、8回1死一、二塁になって、2番青木には1ボールからの2球目ストレートを詰まりながらも中前に運ばれた。西浦に与えた四球が絡んでの失点だが、ここは勝負にいった結果というしかないし、宮城はよくゲームをつくった。

むしろオリックスにとって悔いが残ったのは、その裏の攻撃だ。1死から9番安達が粘った末の9球目に四球を選んだ。オリックスは1点を追う状況になったわけで、続くトップ福田のところで、何らかの“仕掛け”が欲しかった。

8回1死一塁。高橋-中村のヤクルトバッテリーもけん制を続けて警戒されたが、そこは仮に失敗したとしても、エンドランを繰り出すなど、最低でも走者を二塁に進める戦術をとって動くべきで、もったいない場面だった。

もっともオリックス打線は、5回まで毎回走者を出したから、どこかで高橋をつかまえたかった。ヤクルトからすれば、初戦で32球を投げた清水、サヨナラ打を浴びたマクガフは使いづらかった。要するに高橋の苦しまぎれの完封だったわけだ。

初戦は拾った感の強い1勝だった。これでヤクルトに勢いがついたとも思えない。第3戦はオリックスにとってDHがないアウェーだが、交流戦で優勝しているから苦手意識はないはずだ。第3戦をモノにしたチームに初めて勢いがつくとみた。(日刊スポーツ評論家)

オリックス対ヤクルト オリックスに勝利し、高津監督(手前)に迎えられるヤクルト高橋(右)と青木(撮影・河田真司)
オリックス対ヤクルト オリックスに勝利し、高津監督(手前)に迎えられるヤクルト高橋(右)と青木(撮影・河田真司)