200勝を目指す上で、ヤクルト石川雅規投手(177勝)と楽天田中将大投手(日米通算181勝)にとって、この1年は大事なシーズンになると思っている。

ヤクルト対楽天 2回表楽天無死、島内(後方)を二ゴロに仕留める石川(撮影・江口和貴)
ヤクルト対楽天 2回表楽天無死、島内(後方)を二ゴロに仕留める石川(撮影・江口和貴)

42歳の石川がこの時期に先発するのは、順調な仕上がりの証しだろう。打たせて取るタイプの投手で、まずはきっちり投げられることを確認する作業の中でも、打者の間合いを外す駆け引きも行っていた。足の上げるタイミングを微妙に変え、クイックを交ぜたり、球を離すポイントをずらす。結果を問われる段階ではないが、今すべきことをしつつ、2回1安打無失点と一定の結果も出した。

その中で追求して欲しい場面があった。2回1死一、二塁で、打者は新人安田。カウント1-2から外角へ際どい直球を投じてボール。続けて外角に緩いカーブを投げて、タイミングを崩して一ゴロに打ち取った。外角の直球の残像を打者に残しつつ、同じコースにカーブやスライダーを放って、崩すのは石川の主要パターンだ。この打ち取り方ができるのは分かっているのだから、今後に向けて幅を広げて欲しい。内角へシュートを突く、やり方もある。見せ球ではなく、抑えに行く打者の懐への球は意味合いが変わる。

ヤクルト対楽天 1回表楽天無死、二ゴロに倒れる西川。投手石川(撮影・江口和貴)
ヤクルト対楽天 1回表楽天無死、二ゴロに倒れる西川。投手石川(撮影・江口和貴)

投手がキャリア終盤になり、打者に余裕を持たれるようになると攻めにくくなる。私も山本昌さんが40歳を超えてから、本来ならスクリューを使うカウントで内角直球を突っ込んだり、打者に嫌だなと思わせる攻め方を取り入れた。長くやれる投手は同じ球種でも攻め方の幅が広がってくるものだ。

ヤクルト対楽天 楽天先発の田中将(撮影・江口和貴)
ヤクルト対楽天 楽天先発の田中将(撮影・江口和貴)

田中将は初回は少し、直球がタレているようにも感じたが、2回以降はリリースに力を入れて、勢いが出ていた。去年も同時期に対外試合初登板を見た。当時は日米の感覚の違いからか、少し恐る恐る投げているようにも思えたが、それに比べたら不安は消えているように感じた。

日本復帰の昨季は4勝止まり。試合をつくり、防御率も3点台前半だったが勝てなかった。味方の援護が少なかったり、相手投手との兼ね合いもある。だが、リズムなのか、打者を打ち取るのに球数を要しすぎるのか、そこには何かしらの原因がある。運が悪かったということではなく、追求してほしい。

ヤクルト対楽天 1回裏ヤクルト2死一塁、村上(右)を一ゴロに仕留める田中将(撮影・江口和貴)
ヤクルト対楽天 1回裏ヤクルト2死一塁、村上(右)を一ゴロに仕留める田中将(撮影・江口和貴)

2人ともいい準備ができていることは確認できた。田中将は年齢的にもチャンスはあるが、200勝へ残り23勝の石川は2ケタを目指して欲しい。(日刊スポーツ評論家)