この日の紅白戦は青柳を除く8投手にとって、1軍テストの意味合いが強かったでしょう。

その中で村上、小野、小川、鈴木の4投手が出した四球が6個。もったいないですね。この時期の試合はどの球が通用して、どの球が通用しないのかを確認するために実体験する場所。打者との対戦は、ブルペンの投球練習だけでは分からない絶好の教材なんです。打たれたくないから力が入ったり、慎重になったのでしょうが、四球だと結局答えが分からない。打者の方も同じで、バットを振れないから今の時期の四球はメリットがない。

もちろん2回を6人でピシャリと抑えた石井は収穫が多かっただろうし、湯浅はいきなりマルテと佐藤輝に2者連続弾を浴びたけど、四球が0で後続3人を断ち、何が通用して、何が通用しないのか、得るものがあったと思う。生き残りをかけているから結果がほしいのも分かるけど、今求められているのは結果、プラス内容の“ベター”な投球。結果だけを求める“ベスト投球”はシーズンに入ってからやればいいんです。

この日投げた投手陣を見渡しても、150キロ以上をコンスタントに出したり、切れ味鋭い変化球を投げたり、阪神はレベルが高い、いい素材がそろっていますよ。でも最低限、ストライクを投げるテーマを設定して投げないと、シーズンのための紅白戦ではなく、練習のための紅白戦にしかならない。自分自身が成長できるかどうか、意識の持ち方はとても大事なんです。(日刊スポーツ評論家)

紅白戦 白組5番手の湯浅(撮影・上田博志)
紅白戦 白組5番手の湯浅(撮影・上田博志)
紅白戦 阪神の紅白戦を視察する本紙評論家の権藤博氏(撮影・前岡正明)
紅白戦 阪神の紅白戦を視察する本紙評論家の権藤博氏(撮影・前岡正明)