日刊スポーツ評論家で98年横浜日本一監督の権藤博氏(83)があす25日のプロ野球開幕を前に、古巣中日が優勝争いに参戦するポイントのひとつに投手マネジメントの成否を挙げた。立浪和義監督(52)の元でスタートする初めてのシーズン。充実した投手力をフルに発揮できれば、11年ぶりの優勝の可能性が膨らむと展望した。【聞き手=安藤宏樹】

   ◇   ◇   ◇

中日は戦い方次第で面白い存在になるでしょう。なんと言っても投手がそろっています。先発、リリーフとも厚みがあり、抑えにはR・マルティネス。強みを生かすか殺すかで結果は大きく変わってくる。立浪監督と落合ヘッド兼投手コーチの現場2トップが機能し、選手の力を引き出せれば、優勝争いに食い込む可能性は高いと見ています。

そういう意味では新任の監督と投手コーチの関係性はチーム浮上のカギを握ることになります。キャンプ、オープン戦での立浪監督の言動を見る限り、投手のことは担当コーチに任せる方針のようですが、この関係の重要性について私の経験を踏まえて述べてみたいと思います。

投手コーチに就任する際、だいたいどの監督も「任せる」と言ってくれます。監督が野手出身の場合は特にこのケースが多い。しかし、実際にシーズンが始まると、事はそう簡単ではありません。ここはグッと我慢、という局面で突然、人が変わったように「代えるぞ!」。ゲーム構想になかった継投などはもっとも困りました。

投手コーチは選手の状態に目配りしながら、シーズンを通した戦い方を練り上げ、試合に臨みます。その方針と情報を監督に伝え、共有していると思っていたらこちらの独りよがり…。困惑が疑心を呼び、関係悪化に至ったこともありました。

野手出身の監督に中でも、現役時代に二塁、遊撃でプレーしていた監督との関係維持が特に難しかったという印象です。同じ野手でも二遊間はバッテリーにより近い場所でプレーするため、打者との対決空間で生まれる独特の感性が磨かれるのではないでしょうか。「このままだと打たれる」といったにおいに敏感だからこそ、予定にない継投に走りがちになる。投手コーチももちろん嗅覚は働きますが、長いペナントレースを考えると我慢しなければならない局面もあるわけです。

立浪監督は高卒1年目から遊撃手でデビューし、二塁手としても長くプレーしてきた名選手。その感性は人一倍、強いはずです。任すと決めたならとことん任す。自分でやるなら自分でやる。現場責任者の監督はどちらを選択してもいいと思いますが、いずれにせよ投手コーチと腹を割ったコミュニケーションをとり続けることが肝要でしょう。(日刊スポーツ評論家)