阪神は小川を攻略できず、完封負けで連勝が6で止まった。85年日本一監督で日刊スポーツ客員評論家の吉田義男氏(88)は相手を2本上回る6安打での敗戦に、ベンチは最善の策を尽くしたのかと疑問符。いずれも先頭が出た6回と8回は、代打で攻め込むべきだったのではと指摘した。【聞き手=寺尾博和編集委員】

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超満員の甲子園だっただけにシャットアウト負けは残念な結末だった。ヤクルト小川の球威とコーナーを突いた投球に、6安打散発で1点も奪えなかったのだから完敗と言わざるを得ない。

阪神西勇が1回2死一塁から村上に浴びた左越え2ランは、浜風にも乗ってうまくレフトスタンドに運ばれた。2回は高山の失策をきっかけに加点を許したが精いっぱいのプレーだったとみていた。

ポイントは好投の小川からいかに点を取るか。3点ビハインドで迎えた6回は8番坂本が中前打で出塁。阪神ベンチは西勇に送りバントのサインを出したが失敗に終わった。ここは代打起用で攻め込むべきだった。

確かに、西勇は序盤に3点を失った後も粘り強く投げてはいた。しかし、試合も中盤で3点を追いかける展開だっただけに、代打を送って総攻撃をかけてほしかった。

8回も、先頭で7番島田がセーフティーバントで出塁したが、ここでも阪神ベンチは動かなかった。8番坂本の遊ゴロはゲッツーに。坂本は前の打席でヒットを放っていたとはいえ、代打で勝負をかけるべきだった。

この日の糸井のコンディションの状況がどうだったかはわからない。しかし控えに回っていた両打ちの外国人ロハスらの“コマ”を起用する機会を失って、敗れたのはもったいなかった。

6回2死二、三塁、3番佐藤輝は2ボール2ストライクからの6球目、三邪飛に倒れた。小川が投げ込んだのは全球ともストレートだから、よほど自信があったのだろう。

ヤクルト村上には一振りで決められた。結局、阪神は佐藤輝にかかっているということだ。借金11を抱えた状況下で、王者のような戦いはできないが、1つずつ返していくしかない。