<DeNA2-9阪神>◇14日◇横浜

青柳晃洋投手は3試合連続完投の疲れもあってか、今年一番調子が良くなかったと思う。それでも要所を締めて、8安打されながら6回を2失点にまとめた。ローテで回っていると状態がいい時ばかりではない。いかに良くない時に、良くないなりに抑えるかが、勝てる投手になれるかなれないかの分岐点になる。あらためて成長を感じたマウンドだった。

特筆すべきは抜群のコントロールだろう。数年前まで、調子が良くない日は制球も乱れて四死球から崩れるケースが多かった。だが、下半身で粘って投げられるようになって制球が安定し、逆球もほとんどない。この日の四球0が象徴するように、ピンチでもゾーン近辺で勝負でき、状態は良くなくても、ベンチも安心できる投球だったはずだ。

打者目線で見ると、キレのある真っすぐのほかツーシーム、シンカー、カットボールなど変化球が多彩で、緩急差が大きく的を絞りづらい。手元で動かして沈んだりするから、打ちにいくとゴロアウトが多くなる。ここに、弱点で課題だった制球力がプラスされ、攻略が難しい本当にイヤな投手になっていると感じる。

コロナ感染で開幕から約3週間出遅れたがチームの13勝中、約3分の1の4勝を稼いでいる。早くもチームの勝ち頭で、リーグでも巨人戸郷の5勝に次ぐ白星だ。昨年は13勝で最多勝を獲得したが、今年は14勝、15勝ともっと上をいく期待を抱かせる。当然、防御率のタイトルも狙える。それほど全てが充実している。

味方打線もこの日、近本と中野の1、2番が先制、中押し、ダメ押しの起点になって強力援護した。調子の良くなかった青柳も背中を押されただろうし、これが投打のチームワークだ。27日には、ロッテ佐々木朗と投げ合う可能性がある。阪神が勝つためには、打線が少ないチャンスを生かして、青柳が粘り切ること。楽しみな投げ合いになる。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対阪神 4回、投球の合間に笑顔を見せる先発の青柳(撮影・菅敏)
DeNA対阪神 4回、投球の合間に笑顔を見せる先発の青柳(撮影・菅敏)
DeNAに勝利し、佐藤輝(右から2人目)をタッチで迎える阪神勝利投手の青柳(撮影・菅敏)
DeNAに勝利し、佐藤輝(右から2人目)をタッチで迎える阪神勝利投手の青柳(撮影・菅敏)