阪神が今季5度目の延長戦に敗れ、今季の巨人戦4カード目で初の負け越しを喫した。両チームとも好機でなかなか1本が出なかった一戦。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(43)は同点で迎えた8回裏、無死満塁からの阪神打線と巨人バッテリーの攻防に注目した。【聞き手=佐井陽介】

阪神対巨人 8回裏阪神無死満塁、森下は併殺打に倒れる(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回裏阪神無死満塁、森下は併殺打に倒れる(撮影・上田博志)

両チームともに2度ずつ満塁の好機を逃した一戦。阪神は同点で無死満塁を作った8回裏に勝負を決めておきたかったところです。ただ、第三者目線で言えば、この無死満塁からイニング終了までの10球の駆け引きは非常に見応えがありました。巨人バッテリーは9球連続で内角シュートを選び、最後の最後に外角スライダーをチョイス。計10球連続で投げきった田中瑛投手、内角シュートを徹底した甲斐捕手の2人を褒めたたえるしかありません。

田中瑛投手は無死満塁からの登板でした。打席に入った阪神森下選手からすれば、以前にも内角シュートで詰まらされている相手。間違いなく同じ球種とコースを警戒されている中、巨人バッテリーは6球連続で内角シュートを選択。最後は注文通りの三ゴロ併殺打に仕留めました。ではなぜ、あれだけマークされながらも同じボールを投げ続けられたのか。田中瑛投手のシュートは低めだと少し沈み、ベルト付近に来ると横滑りします。同じシュートでも高さによって動きが違うから、捕手側も連続で選択し続けられるのだと想像します。

阪神対巨人 8回裏阪神無死満塁、甲斐(左)は森下の三ゴロで併殺を奪う。右は三走植田海(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 8回裏阪神無死満塁、甲斐(左)は森下の三ゴロで併殺を奪う。右は三走植田海(撮影・上山淳一)

続く佐藤輝選手は申告敬遠で歩かせ、2死満塁で大山選手。この場面でも巨人バッテリーは3球連続で内角シュートを選択しました。そして、最後は2ストライクから満を持して外角スライダーを選んで空振り三振。これはもう「来るぞ来るぞ」とチラつかせながら10球目まで外角スライダーを温存した甲斐捕手の作戦勝ちに違いありません。巨人は岡本選手の負傷離脱などでベストメンバーが組めない状態ながら、ヘッドスライディングなど選手の執念が際立つ形で2連勝。一気に突き放しておきたかった阪神からすれば、少しダメージの残る2連敗となったかもしれません。(日刊スポーツ評論家)

阪神対巨人 8回裏のピンチをしのいだ巨人田中瑛は雄たけびをあげながらベンチに戻る(撮影・西尾就之)
阪神対巨人 8回裏のピンチをしのいだ巨人田中瑛は雄たけびをあげながらベンチに戻る(撮影・西尾就之)