20年シーズンも終盤戦に差し掛かり、広島の若手新戦力が続々と1軍デビューを飾っている。ドラフト2位ルーキーの宇草をはじめ、林、正随、羽月、育成出身の大盛といった2年目に加え、3年目の中村奨、育成出身の藤井黎と若鯉が次々に初めての1軍の舞台を踏みしめた。そんな中、1軍未経験ながら、2軍で奮闘を続けているのが高卒2年目の田中法彦投手(19)だ。

菰野(三重)から18年ドラフト5位で入団した右腕。1年目の昨季はウエスタン・リーグの登板は4試合にとどまったものの、今季は既に25試合に登板。主に守護神を務め、リーグトップの12セーブを挙げる。7月から9月にかけて、13試合連続無失点を記録するなど、13日現在で防御率は1・73と抜群の安定感を誇る。

高校時代に記録した最速152キロの直球は鳴りをひそめるものの、140キロ台の直球で打者をねじ伏せる。右腕は「球速はそんなに出てないですけど、直球で空振りが取れるようになったし、去年よりはキレも良くなっていると思います」と好調の要因を分析した。

変化球は昨年までのカーブ、スライダー、チェンジアップに加え、今季からカットボールと高校時代に投げていたスプリットを復活させたことで、幅を広げることに成功。「変化球も増えて、全部でストライクが取れる。全球種でゾーンで勝負できている。それが去年よりは成長したかなと思います」と胸を張る。

2年目の同期入団の選手が1軍の舞台を経験する中、田中法も虎視眈々(たんたん)と昇格の機会をうかがい、アピールを続ける。「やっぱりチャンスがあれば1軍で投げたい。やるからには大事なところを任されるような、信頼される投手になりたい」。大志を抱く広島の背番号57から目が離せない。【広島担当=古財稜明】