西武山川穂高内野手(30)が頼もしい。
開幕カード・オリックス戦での2試合連続本塁打と好調の「打」での存在感はもちろんだが、それだけではない。「声」でもグラウンドに安心感を与える。
「いいよ」「オッケー」「いいボールだよ」。ファーストの位置から、積極的に声をかけ、コミュニケーションを取っている。特に隅田知一郎投手(22)、佐藤隼輔投手(22)の両ルーキーらフレッシュな投手がマウンドに立っている時、その姿は特に目立つ。
尋ねてみると、こう言葉が返ってきた。
「意識していますね。普段の生活というか、どこかにいる時からそうなんですけど」。
もちろん「ピッチャーのことは分からない」から技術的なアドバイスはできない。ただプロ野球選手として、何か力になれることはある。
「普段からコミュニケーション取っていると、あっちからも質問しやすいと思うんです。こっちから話しかけるのは、すごく大事かなと思います。試合でも声をかけて、少しでも楽に気持ち良く投げてくれればいいかなと。僕はそういうタイプだと思うので」
その心がけの一端には、自身の若い時の経験もある。そして受け継いできた気概でもある。
「声をかけてもらいましたね。中村さん、栗山さん、秋山さん、浅村さん、(森本)稀哲さん、(渡辺)直人さんなど、いろんな人に。ものすごく声をかけてもらいました。それで助かったこといっぱいあるんです」
これまで2度の本塁打王に輝いた。球界屈指の長打力で居場所を築いてきた。ただ、大卒で入ったプロ入り後、最初2年間の1軍出場は15試合。最初から活躍できたわけではない。経験の乏しい中での不安もよく分かる。実力を発揮しやすい雰囲気のありがたみも知る。豪快にバットを振る男は、繊細に気を配っている。【上田悠太】