日本ハムの新球場エスコンフィールドは、目を見張るような仕掛けがちりばめられている。3月6、7日に内覧会が開かれ、施設の大部分が報道陣に公開された。天然芝の香りも新鮮だったが、サウナやホテルといった球場とは思えない豪華な作りは、どの部分を切り取っても、訪れた人の記憶に残るに違いない。さらにファインプレーや劇的な試合展開、優勝の歓喜、選手のプレーによって生み出される感動も上塗りされていく。

小学生時代は週末に札幌ドームへ試合観戦に行くのが定番だった。中でも忘れられない試合がある。プロ野球のストライキ明け初戦だった04年9月20日のダイエー(現ソフトバンク)戦。「幻の満塁弾」を生んだ試合だ。

12-12の同点で迎えた9回裏、2死満塁の打席に立った新庄剛志がバットを高く掲げて本塁打を予告した。直後の初球を振り抜き、予告通りに満塁弾を放った。この後の顛末(てんまつ)は有名だが、一塁走者の田中幸雄と抱き合い、新庄が田中を追い越したことで、単打扱いに。13-12でサヨナラ勝ちを収めた。

一時は9回裏の得点に7と表示されたスコアボードが4に変更されたことも、そんなことはどうでもよくなるくらい球場が熱狂していたことも鮮明に記憶している。

北海道移転初年度だったこの年、私はまだ小学5年だったが、この試合の感動は20年間、色あせずに残っている。札幌ドームは数々のドラマを生んだが、その舞台はエスコンに移る。新球場を訪れる子どもたちが後世に語り継ぎたくなるような名勝負が繰り広げられることを願いつつ、感動の瞬間を記録する仕事を全うしていきたい。【日本ハム担当=石井翔太】

23年3月14日、エスコンフィールド北海道で初のオープン戦となる日本ハム-西武戦が開催された
23年3月14日、エスコンフィールド北海道で初のオープン戦となる日本ハム-西武戦が開催された