ブーマーとユーマーが、ついに“対面”した。

オリックスがリーグ3連覇を果たす1週間前。13日日本ハム戦(エスコンフィールド)前に、オリックス頓宮は日本プロ野球外国人OB選手会の代表理事、ウィリアム・ブルックス氏から「ブーマー」の文字が入ったファーストミットを受け取った。阪急で84年に外国人初の3冠王に輝いたブーマー・ウェルズ氏からの贈り物だった。

8月3日の樂天戦(京セラドーム大阪)で、11年ぶりに来日したブーマー氏が始球式に登板。阪急時代の同氏と同じ44番を背負う頓宮が打者役を務めたのがきっかけだった。ブーマー氏は頓宮を「ナイスガイだ」と気に入り、現役時代に練習で使っていたミットを贈ることを決めた。受け取った頓宮は「めっちゃうれしい。家に飾って家宝にします」と大喜びだった。

実は2人には、実際に出会う前から縁がある。亜大から18年ドラフト2位でオリックス入りした際、恩師の生田勉監督から大きな目標達成を伝えられた。オリックスの前身、阪急には「ブーマー選手というレジェンドがいる。阪急がブーマーなら、オリックスはユーマーと言われるような打者になりなさい」と名前の裕真(ゆうま)にちなんで激励された。

才能は、プロ4年目の21年に大きく開花。出場81試合で初の2桁11本塁打を放って、リーグ連覇に貢献した。今季はパ・リーグの打率トップに立つ。

20日の優勝会見で初タイトル奪取への意欲を聞かれ「ゴールデングラブですか?」とボケた。同席した中嶋監督が思わず吹き出し、エース山本も爆笑。それでも本人は「金のグラブ、取りたいと思います」と続けた。

「金」にも縁がある。プロ1年目の4月、活躍を祈って高級焼き肉店「叙々苑」の総務部部長から「44頓宮」とネームを刻んだ「黄金のトング」を贈られた。これも生田監督が結んでくれた縁だった。

亜大を11度の東都王者に導いた生田監督は今夏、体調不良を理由に退任。優勝会見でのボケに思えた「金のグラブ奪取宣言」は、数々の縁をつないでくれた恩師へのユーマーの誓いだったのかもしれない。【堀まどか】