ゴールデンウィーク期間に高校野球、大学野球を観戦してきた。
【4月29日(昭和の日)】
春季高校野球埼玉大会を見にUDトラックス上尾スタジアムへ。第1試合の3回戦、市立川越-市立浦和は午前9時開始。早朝6時半に自宅を出発し電車を乗り継ぎ同8時半に球場にたどりついた。
ネット裏で市立川越ファンのAさんと観戦。Aさんは川越市出身。市立川越のOBではないのだが同校の大ファンで野球部だけではなくバスケやバレー、さらには大学や社会人チームでプレーする卒業生の試合にも駆けつける。これまで何度かAさんと市立川越の試合を観戦しているがたぶん負けた回数の方が多い。大宮での「第4試合」でうまい酒を飲むためにも今日は勝ってほしい。
試合前のシートノック。市立川越ナインはよく声が出ていた。動きも悪くない。初戦(2回戦)で川越工をコールドで破った勢いを感じた。
2回裏、市立川越が先制した。7番森村和真外野手が左翼へソロ本塁打。3回にも1点を加え2-0とリード。しかし6回に1点を返され1点差。3回以降、追加点を奪えず嫌なムードが漂い始めた。それでも7回、敵失からチャンスをつくると3連続長打などで5得点。7-1とすると8回裏、無死満塁から押し出し死球で8-1。コールド勝ちが決まった。これでベスト8だ。昨秋は地区予選で敗退し県大会に出場できなかった。冬のトレーニングの成果だろうか、鋭い打球を飛ばす選手が目立った。12安打を放ち半分の6本が長打。継投も決まり快勝だった。Aさんを見るとホッとした表情だった。熱い気持ちは胸におさめ、勝っても負けてもいつも静かに選手を見守る。「第4試合」の祝勝会が楽しみだ。
第2試合は大宮北が伊奈学園総合に11-1でコールド勝ち。
そして第3試合が注目の浦和学院-上尾。地元上尾の登場に午前中は空席もあったスタンドはいつの間にか満員になっていた。
浦和学院は昨秋の県大会準々決勝で浦和実に0-4で敗れた。センバツで大活躍した左腕石戸投手を打てずまさかの完封負け。その敗戦を糧にひと冬越えてどんなチームになっているか。グラウンドに姿を現した選手を見ると体格がすごい。中でも目立ったのが4番の藤井健翔三塁手(3年)だ。181センチで体重は100キロ超。ややいかり肩、まるで防具を着けたアメフト選手のような体つきである。
ほかにも3番を打つ垣内凌外野手(3年)や、1年夏に4番を打って甲子園でも2安打を放った西田瞬内野手(3年)ら注目選手がズラリ。一方、上尾が地元ファンの後押しを受けてどんな戦いをするのか、注目の一戦がプレーボール。
しかし序盤で試合が決まってしまった。浦和学院が1回表に1点を先制すると2回にも本塁打を含む4本の長打で大量6得点。結局、15-1で7回コールド勝ちした。20安打を放ちうち12本(本塁打3本)が長打。浦和学院、強し! を印象づけた試合となった。
注目した藤井内野手は変化球へのもろさを見せたものの痛烈なヒットを1本。6番の林田大空内野手(3年)が2本塁打。そして最も印象に残ったのが西田内野手だった。これまでは一塁や三塁を守りクリーンアップを打っていたと思うが「2番二塁」で出場。二塁打2本、三塁打1本を放ち4打数3安打2打点。二塁の守りでも二塁ベース手前のゴロを軽快にさばくなどハンドリング、スローイングも問題なく感じた。大柄な選手ではないが元巨人の仁志選手のようなイメージ。これからも追い掛けていきたい選手だ。
球場を後にして向かうは大宮での「第4試合」。駅前にある「力」(りき)という串焼きのお店へ。大宮で野球を見るたびに寄って帰るのでもう何回来たか分からない。Aさんとまずはビールで市立川越の準々決勝進出を祝って「カンパイ!」。定番のレバー、かしら、しろ。名物の玉子焼きにメンチカツ。この日は祭日で2時間制限ということだったが、2時間で終わるはずもなく延長戦。裏にある姉妹店の「力の蔵」へ。何を食べ、何を飲んで、何を話したか覚えていないが午後10時過ぎ、なんとか帰宅したようだ。
【5月3日(憲法記念日)】
春季高校野球千葉大会準決勝を見に天台球場へ。
知り合いのスカウトに「千葉に行きます」と連絡すると「市立船橋の花嶋という選手が面白い」との返信。その市船は第2試合で習志野と対戦した。捕手ということだったが背番号は「3」。試合には「4番ライト」で出場した。第1打席から四球、三振、四球。第4打席で初球100キロの緩いカーブを捉えセンターへ大飛球。しかしもうひと伸び足りずスタンドインならず。滞空時間は6・89秒だった。
試合は0-4で完封負け。関東大会出場を逃した。試合後に話を聞いた。
「進路はプロ一本です。育成指名でもいいのでプロでやってみたいです」ときっぱり。181センチ、86キロ、右投げ右打ち。高校通算本塁打は18本。
この日は途中、定期券を落とすハプニングもあったが、無事戻ってきてくれた。天台球場は好カードもあって内野席は満員。外野芝生席も開放した。千葉も野球熱は高い。
【5月4日(みどりの日)】
神奈川・大和市に首都大学野球を見に行くか、それとも東京新大学野球の埼玉・飯能か…。
迷ったので早朝、市立川越ファンのAさんに「今日は飯能に行きますか?」とメッセージを送ってみた。
すると「行く予定です。今日、立石がホームランを打てば東京新大学の新記録らしいです」と返事が来た。Aさんが東京新大学リーグに詳しいのは市立川越OBが何人かプレーしているから。創価大の石田投手、共栄大の古賀内野手ら主力で活躍している選手もいて週末は彼らを追い掛けて関東地方のあちらこちらの球場に足を運んでいるという。
立石正弘内野手(4年=高川学園)はいわずとしれた創価大のプロ注目スラッガー。前日の試合で4試合連続となる5号本塁打を放ちシーズンのリーグ記録に並んだという。今日も打てば新記録ということで、ここは即決。飯能に向かうことにした。
電車を乗り継ぎ西武池袋線、飯能の1つ前、元加治で下車。ここからだと徒歩10分程度で飯能市民球場に到着できる。
駅前の「ベーカリーいずみ」というお店で昼ご飯のカレーパンを購入。天気が良く暑くなりそうなので途中、コンビニで凍ったペットボトル飲料を購入し球場へと急いだ。
すでに第1試合の共栄大-東京国際大は始まっていた。スタンドを見回すとAさんがネット裏最上段に席を取ってくれていた。さほど大きくないスタンドだが、この日は多数のファン、スカウト、テレビカメラも含めかなりの入り。Aさんによれば立石が本塁打を量産しはじめたことで観客の数も増え始めているそうだ。ちなみに入場は無料。良い席を確保してくれたAさんに感謝。
しばらくするとベテランスカウトのYさん、さらにMLB某球団のOスカウトも登場。するとOさん、「実は今日、僕の●歳の誕生日なんだよね!」ときた。びっくりしたが「それはおめでとうございます。終わったらお祝いしましょう」。「第3試合」の開催が決まった。
ただ、立石選手が新記録となる6号本塁打を打ってしまったら…。仕事をしなければならない。実はこの日、ほかにも東京6大学野球や高校野球各地区の決勝戦などイベントがめじろ押し。我が日刊スポーツは飯能まで手が回らず。もし新記録の一発を放った時は私が記事を書くことになった。担当デスクに連絡を入れ予定稿を準備。打ったら即、電話して社内で速報記事をアップする段取りを整えた。試合前に持参したiPadで原稿を書いていると炎天下の影響で突然画面が真っ暗に。「高温危険!」との警告が表示された。まずい! すぐにiPadをバッグにしまい熱が冷めるのを待つ。しかし、画面が復旧しないまま試合開始。予定稿を送信する前に立石選手の第1打席が回ってきてしまった。飯能市民球場の両翼は92メートルと狭い。Aさんは4月、この球場で立石選手の場外満塁ホームランを目撃しており「いつ出てもおかしくないですよ」と言う。
ドキドキしながら見つめた第1打席は四球。再びバッグからiPadを取り出すと温度が下がりようやく起動。予定稿を完成させて無事、会社にメール送信した。
さあ、あとはいつでもホームランを打ってくれ!
第2打席は痛烈な左前安打。第3打席はライト右へ二塁打。第4打席は遊ゴロ併殺打に倒れたが第5打席で中前へタイムリーヒットを放った。新記録こそ次週へ持ち越しも4打数3安打1打点の活躍。新記録の予定稿は「ボツ」になってしまったが、良いものを見させてもらった。第2打席で安打を放った後、後続の二塁打で一塁から一気に生還したが、走る姿がかっこよかった。体がぶれることなく腕を振り、素早い足の回転で三塁ベースを鋭角にターン。まさに疾走だった。
立石選手だけではなくこの日、プロが注目していたのが創価大の190センチ右腕・山崎投手(4年=帝京第五)。6回から登板すると3イニングをパーフェクトに抑え5奪三振。Oさんによれば「今日の最速は148キロ。捕手から投手に転向してまだ2年目。150キロを超えてきたら面白い」。手足の長い長身右腕で投げる姿はメジャーでも活躍した岩隈久志投手そっくり。今秋のドラフト候補にまた1人、楽しみな投手が浮上した。
創価大の勝利で試合は終了。Aさんは車で来たのでここでお別れ。Yさんは今晩、お孫さんたちと食事をするということで早々に引き揚げた。Oさんと私は誕生祝いの「第3試合」をするためにまずは元加治駅へ。途中、共通の知り合いであるHさんに連絡。Hさんは西武沿線の練馬在住で、我々の「第3試合」に合流するという。それではということで練馬に舞台を移して「第3試合」開催という流れになった。駅前の餃子専門店でビールでハッピーバースデー。2時間の「飲み放題」がお得と言うことで、Oさんは大好きな芋焼酎をロックでグビグビ。Hさんは芋焼酎の水割り。私は記憶を失うのが怖くてビールを何杯かおかわりした。
2時間でお開きとなり、地元のHさんは帰路へ。まだまだ元気いっぱいのOさんと私は「第4試合」へ。池袋で下車して大宮でもお世話になった「力」へ。これまたいつもと同じレバー、かしら、しろ、玉子焼きを頼んで、今度はホッピーで乾杯。池袋の夜は更けていった。
【5月5日(こどもの日)】
神奈川大会準決勝で横浜スタジアムへ。
第1試合はセンバツ優勝の横浜と相洋が対戦。横浜は3回に2点を先制されたが4回に追いつくと6回に5点を奪い7-2で逆転勝利。昨秋からの公式戦連勝を「24」に伸ばした。見事だったのは継投策。3回、2ランで先制された後ヒットと盗塁で無死二塁。カウント2-2の場面で先発の山脇投手から片山投手にスイッチ。片山投手が1球で相手打者を三振に仕留めると後続も抑え追加点を許さなかった。近年、高校野球も継投策が当たり前の時代だが、試合の序盤、さらに打席の途中での継投策。村田監督の采配が光った。
第2試合は東海大相模と三浦学苑。5回まで0-0の展開だったが6回に東海大相模が敵失も絡み2点を先制。7回表にソロ本塁打で1点を返されたがその裏、一気に9点を奪ってコールド勝ちした。試合後、原監督の囲み取材に加わった。コンディション不良で調整が遅れていたプロ注目右腕・福田拓翔投手について「投げられる状態にはなっています。でもまだ僕の知っている福田ではない」と話した。
この日は「第3試合」を行うことなく、おとなしく帰宅。
【5月6日】
高校野球神奈川大会決勝は雨天のため順延。
【5月7日】
午前7時40分からドジャース大谷翔平投手の試合をテレワークで速報。その後、神奈川大会決勝、横浜-東海大相模を速報するため横浜スタジアムへと向かった。
雨で1日順延となり平日開催。それでも名門同士の黄金対決ということで内野スタンドはほぼ満員。さすがに準決勝のように外野席までは開放しなかったが、神奈川の高校野球ファンの熱量の高さを再確認した。
試合は熱戦となった。1回表に東海大相模が2点を先制すると2回裏に横浜も1点を返す。5回を追え4-2で相模がリード。このまま逃げ切るかと思われたが7回、2死二、三塁から痛恨のタイムリーエラー。4-4の同点になった。
そのまま9回を追え昨秋の決勝に続き延長タイブレークへ。10回表、相模は3番からの打順。強攻して無得点に終わった。その裏横浜は送りバントで1死二、三塁。続く打者は敬遠で満塁。そして7番駒橋の初球にスクイズ。しかし外角に外され空振り。三塁走者が挟殺され2死二、三塁。それでも駒橋がしぶとく中前にはじき返しサヨナラ勝ち。公式戦連勝を「25」に伸ばして優勝を決めた。ナイスゲームだった。
この試合でも横浜・村田監督の早めの継投策が決まった。先発の織田投手を2回で代えて3回から継投へ。片山投手を挟み4回途中からはエース奥村頼投手を投入。奥村投手が無失点の好投で勝利をたぐり寄せた。
一方敗れた東海大相模は悔しい敗戦となった。涙を流す選手もいた。
原監督は「今日はすごく良いメンタリティーで試合ができた。ギリギリで負けましたが大きな糧にしてほしい。紙一枚でも上と下では世界が全然違いますから」と選手を責めはしなかった。10回表、送りバントをせず強攻したのも「選手たちから『打てます』という声が挙がっていたので。ほかの作戦もあると分かったうえでの選択でした」と話した。
ライバル横浜とは夏の大会で再び戦うことになるだろう。「いつもそうですがワンサイドはありえない。それが相模と横浜。今日で51対49になったかもしれない。1個でも上に行けるような時間をつくっていきたい」と前を向いた。
【まとめ】
5日間で10試合を観戦。Aさんの市立川越はその後準決勝で敗退。惜しくも関東大会出場を逃した。浦和学院は埼玉大会を制し関東大会に出場する。初戦を突破すれば20日の準々決勝(水戸)で横浜と対戦する可能性がある。実現すれば高校野球ファンにとって見逃せない一戦となる。
創価大の東京新大学リーグはいよいよ大詰め。17日から勝ち点4で首位の共栄大(8勝1敗)との決戦に挑む。勝ち点3の創価大(7勝3敗)は2連勝すれば逆転優勝。1敗すると共栄大の優勝が決まる。立石内野手は新記録もかかる。17日から茨城の関東大会取材に出かけるので観戦できないが、茨城切符を逃したAさんがさいたま市・岩槻川通球場で見守ることだろう。創価大か共栄大か。新記録達成なるか。熱い春の戦いはまだまだ続く。




