1週間前、このコラムで書いた。「気がつけば上より下が近づいている」と。3位で広島、巨人を追う阪神だが、Aクラスの座が怪しくなっていた。上との差は広がり、下との差は詰まる。「3位はまず安泰」との考えは実は甘かった。

8月27日、28日でのDeNA戦に連敗し、阪神の貯金は「3」。DeNAは勝率5割に戻し、その差は1・5ゲーム。まさに現状の力の差、勢いの差を見せつけられた思いだ。

近本、森下、佐藤輝、大山がセ・リーグの得点圏打率のトップ4を独占しているとテレビ実況が派手に明かしていたが、DeNAの打線のすごみは、そんな阪神寄りのデータを吹き飛ばすものだった。梶原、蝦名の若い1、2番から始まり、佐野、オースティン、牧、宮崎と続く。ここに代打で筒香が構えているわけで、破壊力は満点。阪神は食い止めることができずに、致命的な連敗となった。

28日の試合後、監督の岡田彰布はトラ番の問いかけに「俺が1人カリカリ怒ってるだけやんか」と寂しい口調でつぶやいている。選手から、燃えるような空気が感じられない。岡田はそれを言いたかったのだろうけど、これは選手にだけに向けられたものではない。ベンチにいるコーチは何をしている? コーチ陣も、淡々とイニングを消化しているだけ。そういうふうに映っていたに違いない。

大事なところで打ち込まれたバッテリーの配球に首をかしげた。だがこれも投手、捕手だけの責任ではない。ベンチから的確な指示を送るのはコーチの役目。「力勝負では勝負にならない」との事前の打ち合わせがあるなら、コーチが徹底させることが責務になる。

打つ方だってそうだ。相手はエースの東だった。大量点を奪える相手ではない。漫然と打席に立っていたら、相手の思うつぼ。エース相手なら、極端な攻め方もひとつの方策なのに、それが伝わってこなかった。佐藤輝だけではないが、ストライクを先行され、追い込まれたあと、ストライクからボールになる変化球。これで三振というケースが多くあった。

こういった技術的なコーチングとは別に、ベンチの空気を高めるコーチがいない。水口、今岡の打撃部門。安藤、久保田の投手部門。馬場、藤本の守備走塁など、おとなしめの面々。ヘッドコーチの平田がしゃかりきになっても…ってな感じを受ける。

2022年のオフ。阪神の監督復帰が決定したあと、岡田はコーチ人事に頭を巡らせた。その時にこんな言葉を聞いた。「ベンチで選手を怒れるコーチって、やっぱり必要なんやけどな」。具体的な候補の名をチラッと聞いたが、それは実現せずに、いまのスタッフに落ち着いた。

勝っても負けても、選手次第。いまの阪神はそういう感じで進んでいる。とにかく昨年の日本一チームなのだ。このまま4位に落ちていく…なんてならぬように。上を見ながらコーチ陣も含め、最後の勝負に挑んでほしい。【内匠宏幸】(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)