【152】<ファームリポート>
<イースタンリーグ:日本ハム3-2楽天>◇8日◇鎌ケ谷
日本ハムのドラフト5位、大卒ルーキー・奈良間大己内野手(23=立正大)の守備に大注目した。
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試合を見始めて、途中から奈良間の守備に特化して見ようと考えるに至った。それは、捕手をやってきたからこそ培われた感覚に従ってみよう、と感じたからだ。
捕手はマスク越しに、まずはピッチャーをしっかり見ている。ただ、ピッチャーを見ていると自然とショート、セカンドは視野に入る。焦点はピッチャーに合わせているが、ほぼ毎回視界にはいるショート、セカンドの動きは、いやがおうでも意識する。
となると、打球判断がいいショートの動きが何となく分かるようになる。それは、打球が飛んでから反応する以前の準備の段階で違いが見える。
よく言われるのは、キャッチャーのミットの位置から、ピッチャーのボールのコースを予期して、打球方向を読む。
守備範囲が広いショートは、打球が飛んでからその動きが注目される。単に反応がいい、カンがいい、足が速い、機敏、足運びがスムーズなどという理由で評価されることが多い。
もちろん、そうした理由もあるだろうが、私は投球からミート直後までのほんの1秒に満たない時間に、球際に強いショートと、あと1歩及ばないショートの差があると感じていた。
そういう視点で、奈良間を見ていた。もう試合終盤は、ほぼ奈良間の動きを注視していた。1球ごとにリズムを取りながら、重心を左足か右足にかけている。その左右の違いには、奈良間なりに根拠があるのだろう。
9回、黒川の打球はバウンドしてセカンドベース左側に飛ぶ。センター前に抜けそうな打球だった。奈良間は、打球がピッチャー方向に飛び、弾んだ時には重心をかけていた左足をスムーズに運び、瞬時に打球コースに入る。
捕球体勢に入った際、バウンドが難しいハーフバウンドになったが、左腕を柔らかく操作して打球をグラブに収め、そのまま1回転して一塁へ正確に送球。楽々アウトにした。
その後、ヒットも出ており、点差は1点。奈良間の好プレーがなければ、同点、逆転のピンチも十分に考えられた。
黒川が打ったコースが外角のストレート系だったために、可能性としては三遊間か中前への打球方向が考えられたが、ピッチャー方向へ飛んだ時、ほんのわずかな瞬間で左足に重心をかけることができたのだと想像する。
なぜ追いついたのか、それはいろんな要素が絡み合っての結果だけに、ひとつの要因に限定することはできない。ただ、追いつくためには日ごろからこうした小さい努力、工夫をしていないと、まぐれはあっても、ある程度の頻度でできるプレーではない。
大卒の奈良間は、当然1軍でのレギュラー争いに食い込みたいだろう。奈良間のこうした存在はチームとしてはとても頼もしい。下からの突き上げは、レベルアップに直結する。
この日は犠打でも確実なところを見せた。初球でバントを決め、それも転がすコース、強さもほぼ完璧なバント。攻撃のリズムを生んだ。よく、いいバントは流れを作るというが、まさに1死後に2ランホームランが出たのは、そういうことだろう。
ここから夏本番を迎える。奈良間にもチャンスは出てくるはずだ。その時、ファームで培った細部を大切に、球際に強いプレーで存在感を示してほしい。(日刊スポーツ評論家)





