第100回全国高校野球選手権記念大会は、好投手が数多く誕生した。一部抜粋するが、3年生では準優勝の金足農(秋田)吉田輝星投手、8強入りした浦和学院(南埼玉)渡辺勇太朗投手らが潜在能力の高さを発揮。2年生では星稜(石川)奥川恭伸投手、創志学園(岡山)西純矢投手らが目立った。

もちろん、150キロ超の直球、鋭く変化する変化球も魅力十分だが、今夏の甲子園では、変化球や速球系のボールで相手打者を封じる投手も注目された。目についた投手全員を書きたいところだが、今回は、スカウトや高校野球関係者への取材の中で、話題に挙がった“魔球の使い手”を4人挙げる。近江・林は2年生で、ほか3選手は3年。

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◆近江(近江)林優樹(チェンジアップ) 真っすぐと同じ腕の振りから、低めに集め、先発した3回戦の常葉大菊川(静岡)戦では8回を1失点、11三振を奪った。度胸も満点で1回戦の智弁和歌山戦、2回戦の前橋育英(群馬)戦はリリーフで好投した。制球力の良さも光った。

◆日大三(西東京)河村唯人(速球) 130キロ後半~140キロ前半の速球で三振の山を築いた。5試合に救援し、2回戦では6回11K。大会中、日刊スポーツ「編成部長」を務めた元ロッテのサブロー氏は、ヤクルト成瀬に似たボールの出どころが見にくい「招き猫フォーム」と評した。

◆報徳学園(東兵庫)木村勇仁(カットボール) 直球も最速は140キロを超えたが、カットボールをカウント球、ウイニングショットでも多投し、バットの芯を外した。3試合にリリーフ登板し、計10回2/3を1失点(自責0)。

◆下関国際(山口)鶴田克樹(ツーシーム) 140キロ後半の直球、スライダーのキレも良かったが、ツーシームが相手を幻惑した。絶妙にバットの芯を外し、前評判の高かった創志学園(岡山)、木更津総合(東千葉)に勝利。逆転負けした日大三戦でも7回2死まで無安打と好投した。

【久保賢吾】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)