オセロと表現される阪神の交流戦成績。その並びを貫こうとしているはずはないのだけどオリックス3戦目は逆転負け。●○の流れは続く。オセロならひっくり返って黒が白になるときもあるけれど野球の勝敗はそうはならない。これで交流戦は「借金1」だ。

「チームとしては絶好調という感じではないけれどウチは全員でやっていく野球なので」。指揮官・矢野燿大は敗戦のテレビインタビューで淡々と話した。常に勝てるはずはないと言うことをイヤというほど知っているのでそういう表情になるのだろう。

実際に追い詰められた状況ではない。交流戦突入まで阪神は首位をひた走っていた。計算通りには行かないことは重々、承知しているとはいえ、交流戦は5割付近で切り抜ければ十分と言える。オセロの並びもそれほどは悪くないのかもしれない。

それにしても「勝負」ということを考えさせられる試合だった。序盤から主砲・大山悠輔、大物ルーキー佐藤輝明に1発が出て、リード。先発アルカンタラは3回まで1人の走者も出さない。勝ちパターンにしか見えなかった。

しかし逆転負けは事実。目立った敗因は8回に岩崎優が打たれたことだが登板数も多いし、疲れもある。常に抑えることはできない。それよりもそこまでの細かいプレーが気になった。

まずアルカンタラだ。4回、先頭・福田を四球で出した。そこから主軸に連打を許し、2失点。さらに5回だ。2死走者なしから投手・山崎福也に二塁打を許したのをきっかけに追いつかれた。「先頭打者に四球」「投手に安打される」。闘将・星野仙一が口をすっぱくして戒めた“タブー”の場面が続いた。

攻撃面でもミスがあった。4回1死一塁からのランエンドヒットで中野拓夢が空振り。一塁走者・梅野隆太郎が二塁で刺された。同点の7回は無死一塁で代打に出た熊谷敬宥が犠打を決められず、好機を生かせない。派手な1発だけでは勝てないということを思い知らされた。

「失敗の中からしか学べない」と矢野は言う。その通りだろう。やるべきことをやる。悪い流れをひきずらない。そして連敗しない。そこに集中していけば当然だが一気に落ち込むことはない。東京ドームで2位巨人は勝ち切れず、引き分けに終わった。まだ阪神に流れは残っている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)