打線が湿る阪神は1-2での敗戦だ。投手力に頼るチーム事情は相変わらずで競り合いに負けた。それでも1点差試合の勝敗はこれで17勝11敗。6つ勝ち越しているのだが通算勝敗自体は貯金がつくれず、5割に逆戻りだ。
この試合、0-1で負けていた可能性もあった。先制されると苦しくなる現状。「普通は1点はそんな重ないんやで」。指揮官・岡田彰布はそう言ったが、現状は実に重い。また「0-1」か…とも思った。しかし7回に近本光司の犠飛で追いつき、4万2620人のほとんどを占める虎党を喜ばせたのである。
「頑張ってるんやけどな」。そう思ったのは、その7回だ。1点を追うこの回、先頭・梅野隆太郎はDeNAの2番手・坂本裕哉の5球目を引っ張った。打球は遊撃への高いバウンド。これを森敬斗が一塁へ悪送球し、そこをキッカケに同点に追いついた。
「思ったよりも梅野が一塁に近かったので焦ったのでは」。サンテレビで解説していた桧山進次郎(日刊スポーツ評論家)はそう話し、梅野の全力疾走が失策を呼んだとした。森がどう感じたかは分からないが、うなずける話だ。
思い出したのは2日広島戦(マツダスタジアム)後の光景だ。この試合は0-0の延長10回に阪神が3点を入れ、勝った。晴れやかな顔で選手たちが球場を出る中、フラフラになって歩いていたのが梅野だ。
「もう大変ですよ。本当に大変。勝ったけど」-。苦しそうに話す顔は真っ赤。サウナでもないのにこんなに汗をかいている人も知らない…という様子で、体中から湯気が上がっている印象すら受けたのである。
その日もナイターだったが暑かった。3時間45分の熱戦をスタメンマスクで最後まで出場。先発・才木浩人から最後のゲラまで5投手のリードを続けた。激務の捕手にとって厳しい試合が続く。梅野だけではない。坂本誠志郎も同じだ。この日で阪神は16度目の延長戦。スタメンマスクはこれで梅野8試合、坂本8試合の同じ数になった。2人とも全力でやっている。
暴投が決勝点で負けた4日広島戦に続き、この日も延長10回の暴投が影響した。その球を梅野は右手に受け、ベンチに下がる場面も。「感覚がなかったので時間をもらいました」。そう話す表情は悔しそうだ。選手は全力でやっている。それを勝利に結びつけたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




